【注文住宅】お得に安心して住み続けるためには必須!“入居後”の手続き

注文住宅が引き渡され、いよいよ入居!これでひと段落……、と思いたくなりますが、実は入居後にもやっておきたい手続きはたくさんあります。制度を知らなかったばかりに、年間数十万円の損をしてしまうことも!

今回は入居後に注目し、住宅購入者に向けた公的支援制度や住宅ローンの返済額を減らす方法、また家の修繕を減らすお手入れ法などをまとめて解説します。

「安心・お得・末永く」を叶えたい方、必見ですよ!

住宅登記は引き渡し後、すみやかに

建物が引き渡しになったら、1か月以内に「不動産登記」をしなければなりません。法律で定められている手続きなので、忘れると大変!

事前に「すべきこと」と準備物を把握しておき、スムーズに申請できるようにしておきましょう。

不動産登記とは?

「不動産登記」とは、注文住宅を建てるにあたって購入した土地や建物が「誰の所有物なのか」をはっきりさせる手続きのことです。

公的な帳簿に土地と建物の詳細情報が記入されることで、名実ともにあなたの所有物になるというわけです。思わぬトラブルに巻き込まれないためにも、早めに行っておきましょう。

登記の手続きは司法書士に依頼がベター

登記の手続きには専門用語・知識が必要となり、また登記名義次第で控除が受けられる場合もあるなど、非常に複雑です。

自分でできないことはありませんが、司法書士に依頼するのが一般的。費用は掛かりますが、間違いなく登記するためにはプロに頼んだ方が安心でしょう。

登記に必要な費用は「登録免許税+司法書士への報酬」

登記には「登録免許税」がかかります。

登録免許税は固定資産税や住宅ローンの金額によって決まるため、司法書士によって変動することはありません(下表参照)。

登記の種類

内容

税率

「所有権移転登記(土地)」

住宅用土地・家屋の所有権の保存登記のこと。まだ誰も所有していなかった不動産を登記する場合はこちら。

土地価格の2.0%

「所有権の保存の登記(新築建物)」

不動産価格の0.4%

「所有権の移転の登記(中古建物)」

中古住宅の購入など、家屋の売買や競落により、所有権が移転したときに行う登記のこと。

不動産価格の2.0%

「抵当権の登記」

住宅取得資金の貸付(住宅ローン)などにかかる抵当権設定の登記のこと。

借入額(債権額)の0.4%

一方、司法書士への報酬は、司法書士が自由に決定できます。相場としては数万〜15万円程度のことが多いようです。

不動産登記に必要な書類

新築した建物を登記するには、登録免許税のほかに、以下の書類が必要となります。

住民票新たに登記名義人となる人(買主)の住民票。マイナンバー記載のない住民票を取得すること。
登記原因証明情報登記の変更が生じた原因や、売買契約により所有権が移転したことを証明する書類のこと。注文住宅を購入した場合、「売買契約書」が該当。
登記申請委任状登記申請を司法書士に依頼する場合に必要になる書類。売主と買主の署名、捺印が必要。

もし自分で申請する場合の窓口は、新氏に取得した不動産を管轄する法務局の登記所になります。一般的には、窓口で続きしますが、オンラインに対応している登記所もあります。

詳しくは法務局のホームぺージ(鹿児島地方法務局:https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kyusyu.html )でご確認ください。

登記の名義は誰にすればいい?

「登記の名義を誰にするか」は、必ず司法書士など専門家に相談してください。

住宅購入資金を誰が出したかによって、名義人が複数になったり、贈与とみなされる場合もあるからです。

よくある例についてまとめてみました。

親から住宅購入資金援助があった場合親からの援助分に相当する割合を、親の所有分として登記できる。「相続時精算課税制度(※1)」を利用することで、贈与税の課税を避けられる可能性も!
配偶者と住宅購入資金を出し合う場合配偶者と住宅購入資金を出し合った場合、配偶者も資金を出した割合分だけ持ち分として登記できる。
共働きの場合資金を出した割合に応じて共有名義で登記すると、それぞれが「住宅ローン控除」や「3000万円特別控除(※2)」が受けられる。

※1 「相続時精算課税制度」・・・生前贈与は2,500万円まで非課税。その人が亡くなり財産相続になった際に、過去に生前贈与した分も合わせて相続税を課税するという制度。

※2 「3000万円特別控除」・・・不動産を売った際の利益(譲渡所得)に対し、3,000万円までは課税対象から除外するという制度。

登記内容の変更が必要なケース

登記は新築時に加えて、以下のような場合も変更手続きが必要です。登記について知る機会はそう多くはないので、この機会に押さえておきましょう。

主なケース

必要な変更登記

不動産にかかわること

土地の地目(土地の用途)が変わった

土地の地目変更登記

建物を取り壊した、地震などで倒壊した

建物消失の登記

床面積が変更になった(建物の増築など)

床面積の変更登記

地籍(土地の面積)が現実と異なる

土地の地籍更生

登記名義人にかかわること

登記記録上の住所が変わった

登記名義人の住所についての変更の登記

氏名が変わった

登記名義人の氏名の変更の登記

所有権以外の権利にかかわること

抵当権が消滅した

手地刀剣の抹消登記

新しく融資を受ける

抵当権の抹消登記

複数ある抵当権の順位を変更する

抵当権の順位の変更の登記

登記変更手続きは、変更が生じてから1か月以内に届け出るのが決まりです。

また変更登記の際は、以下の書類が必要となります。

  • 登記原因証明情報(登記の内容によって異なるので、司法書士や登記所に確認)
  • 登記済証
  • 印鑑証明書(3か月以内のもの)
  • 相続証明書(変更理由が相続である場合)
  • 実印
  • 委任状(司法書士に依頼する場合)
  • 登録免許税

登記書類は大切に保管を

登記書類は紛失や盗難を防ぐため、安全な場所に保管するのが鉄則。

登記した不動産には、「登記別識別情報」といって英数字12桁の符号が付与されます。これは不動産の権利者(登記名義人)であることを証明するパスワード。盗み見られることも防がなくてはなりません。

こうした重要書類の保管には、銀行の貸金庫を利用するのもおすすめです。

さまざまな公的サポートを利用し、負担軽減を

住宅の購入にはさまざまな公的サポートが用意されています。制度を正しく詳しく知っておくと、損をできるだけ減らすことができますよ。

「住宅ローン減税」「すまい給付金」「住宅取得等資金の非課税制度」について解説します。

住宅ローン減税

住宅ローンを借入れて住宅を取得した際、取得者の金利負担を軽くすることを目的とした制度が「住宅ローン減税」です。

住宅ローン減税は住宅取得からの年数が「1~10年」と、「11~13年」の2段階に分けて適用されます。控除額は最大500万円です。

1~10年目

次の3つの金額のうち、最少額がその年の控除額となる。

  • 1年の年間最大控除額(一般住宅は40万円)

  • その人の所得税と住民税の合計金額(※)

  • 借り入れ残高の1%


※ 住民税からの控除上限額は13.65万円/年

11~13年目

11~13年目は、次の4つの金額のうち最少額がその年の控除となる。

  • 1年の年間最大控除額(一般住宅は40万円)

  • その人の所得税と住民税の合計金額(※)

  • 借り入れ残高の1%

  • 建物の取得価格の2%÷3


※ 住民税からの控除上限額は13.65万円/年

住宅ローン減税を受ける場合は、税務署への確定申告が必要です。

給与所得者の場合、入居2年目からは年末調整で控除申告ができるようになります。この場合は勤め先にローンの残高証明書を提出してください。

すまい給付金

「すまい給付金」とは、消費税引上げによる住宅取得負担を軽減するために作られた制度です。

所得税から控除する仕組みの「住宅ローン減税」とは異なり、適用者に現金を給付する仕組みで、収入額と不動産登記上の持ち分割合によって給付額が変動します。

ただし期限付きの制度である点に注意。現在のすまい給付金は、「2022年12月までの入居」が適用の条件になります。

(参考)収入額目安住民税(都道府県)の所得割合学給付額
450万円以下7.60万円以下50万円
450万円~525万円7.60万円~9.79万円40万円
525万円~600万円9.79万円~11.90万円30万円
600万円~675万円11.90万円~14.06万円20万円
675万円~775万円14.60万円~17.26万円10万円

※ 住宅ローンを利用する場合。
※ 都道府県民税率4%の場合の住民税(都道府県)所得割合額。

住宅取得等資金の非課税制度

住宅取得にあたり、親族から援助を受けた場合は「住宅取得等資金の非課税制度」を利用しましょう。通常は贈与税を納めなければいけない支援でも、住宅購入資金の場合は一部が非課税となる制度です。

ポイントとして以下を押さえておきましょう。

  • 非課税となる住宅購入資金援助は1000万円まで
    • 耐震・省エネまたはバリアフリー住宅:1000万円まで
    • 上記以外の住宅:500万円まで
  • 制度の期限は2023年末まで(2021年12月改正)
  • 受贈者の年齢要件は18歳以上

ローンも定期的に見直し、総返済額減額を

住宅ローンも、借り入れ後に「お手入れ」することで、負担を軽くすることができます。ローン負担軽減に有効なローンのメンテナンスポイントを3つ、ご紹介しましょう。

住宅ローンの繰り上げ返済

住宅ローンの繰り上げ返済とは、毎月の決まった返済額とは別に、元金の部分を前倒しして返済するやり方です。

元金を返済することで、支払い予定だった利息を減らすことができ、総返済額を少なくできるのがポイント。もっとも利用されているローンメンテナンスです。

総返済額を減らしたい、完済時期を前倒ししたい、資金に余裕があるといった方は、ぜひ検討してみることをおすすめします。

住宅ローンの借り換え

住宅ローンの借り換えとは、住宅ローンを借り入れている金融機関とは別の金融機関でもっと条件の良いローンを組み、それまでのローンを一括返済する方法です。金利を計算しなおすことになるため、条件が合えば大幅に返済額を減らすことができます。

ただし改めてローンの審査や手続きは必要です。

現在の金利が高いと感じている、現在の金利が上昇する予定があるといった方におすすめのメンテナンス方法だといえるでしょう。

住宅ローンの条件変更

住宅ローンの条件変更とは、今のローンの支払額や利率などの条件を変更することを指します。今の条件では返済負担が大きく生活が苦しい、収入が減ったため今の条件を維持することが難しくなった、あるいは世の中の金利が下がったのでローンの利率を下げたい、といったときに使えます。

定期的なメンテナンスが長持ちの秘訣!

せっかく手に入れた注文住宅も、お手入れをしなければ、あっという間に古びてしまいます。長く、快適に住み続けるための、メンテナンスポイントも知っておきましょう。

「自分でできるお手入れ」と、「プロに頼むべきお手入れ」に分けて解説します。

自分で!日頃からお手入れが必要な場所

自分でできるメンテナンスは、日頃の掃除の他、ふすまの張替えやトイレタンクの修理など、DIY(Do It Yourself の略、「自分自身でやる」という意味)の延長でできるものなどがあげられます。

日頃からお手入れを意識したい6箇所は以下の通り。

ビニールクロス固く絞った布でサッと水拭きを。定期的にホコリを払ってから、中性洗剤で拭き掃除をしておくと、汚れを防ぐ効果アリ。
塗り壁水分はシミや劣化の原因になるため、水拭きや洗剤の使用はNG。ハタキやほうきでこまめにホコリを払い落とすこと。
板張り無垢材は水に弱いため、柔らかい布やマイクロファイバークロスを使ってから拭きするのが◎。直射日光をできるだけ避けることも長持ちの秘訣。
フローリング床ワックスは半年に一度、3年を目安にニスを塗る。水分に強いため、水や薄めた中性洗剤で拭き掃除を。
白木白木は無垢材の中でも汚れが目立ちやすい素材。白木用ワックスでコーティングをしておくと、汚れや劣化が防げる。日々の掃除は乾いた布でから拭きを。
カーペット年2回、カーペット用クリーナーを使って洗浄したい。毎日の掃除は掃除機、水分をこぼした際はすぐにふき取ること。

数年に1回はプロのチェックを!大がかりなメンテナンスはここ

屋根の張り替え、外壁の痛み、ガス管の交換などは、プロに頼むべき箇所です。使っていて不具合がある、外から見て劣化を感じるといった場合は、早めに専門業者に相談しましょう。

基礎や柱、構造躯体など、外見からは判断できないところもあります。数年に一度はプロの点検を受けておくと安心です。

屋根の傷み台風や地震の後は特に入念にチェックを。上るとズレたり割れたりするおそれもあるため、下から目視する。
外壁の痛み塗り直しや補修は築10年が目安。放置すると防水・断熱効果が落ちたり、腐食やカビの原因にも。

水回りは特に注意!冬場の凍結対策も

水回りは奥に傷みやすい箇所です。日頃からこまめな掃除を心がけ、以下のような不具合が出た場合は、専門業者に修理を相談しましょう。

蛇口の水漏れ蛇口から水がポタポタ垂れ続ける場合は、内部のパッキンが摩耗している可能性大。大きさや型などさまざまなので、業者に依頼するのが確実。
風呂タイルのひび割れ、剥がれタイルの剥がれやヒビは、腐食やカビの原因に。市販のセメント材で補修もできるが、広範囲の場合は業者に依頼を。

まとめ

注文住宅は、完成したら「ハイ、終わり!」ではありません。

公的サポートの利用申請や住宅ローンのメンテナンス、そして長く住み続けるためのお手入れも大切。日頃からこまめに手入れをしておくことが、快適な住まいを実現させてくれます。

自分でできることと、プロに依頼すべきことを整理し、効率良くメンテナンスしていきましょう。修繕費用や手続きの手間はかかりますが、我が家と家族を守るためには大切なことですね。

この記事を書いた人

admin2021