【注文住宅】不具合発見のチャンス、施主検査と引き渡しはここをチェック

注文住宅が完成間近になると、施工会社から「内覧会」「施主検査」の予定を尋ねられることがあります。

施主検査は、これから住むことになる家を実際に見て触りながら、工事の具合や不具合を発見できるチャンス。建物の最終チェックともいえる、大切な機会です。

今回は施主検査から引き渡し後までに注目し、完成状況をチェックする際の重要ポイントを見ていきましょう。

引渡し前の「施主検査」とは

注文住宅が完成すると、施主に引き渡しになる前に「施主検査」が行われます。入居前の最終チェックともいえる施主検査は、建物を実際に見て確認できる貴重な機会。

不具合の発見にも大切な役割を果たす「施主検査」について、また最大に活かすポイントを解説します。

施主検査の目的

施主検査とは、施工ミスがないか・契約通りに建物が作られているかなどを、完成済みの住宅を見ながら確認する目的で行います。

施工業者や工事業者が行い、施主の立ち合いは任意としているところが多いようです。

施主検査で問題がなければ予定通りに引き渡し、不具合が見つかった場合は、業者が修繕し再検査の上で引き渡しとなります。

つまり、「不具合の発見」が施主検査の大切な目的の一つ!

引き渡し後だと大きな修繕は対応してくれない業者もあるため、立ち会うことをおすすめします。

施主検査でのチェックポイント

施主検査でのチェックポイントは、100項目以上にのぼります。具体的なチェック項目の例を見てみましょう。

箇所チェック内容
基礎部分ひび割れ、モルタルの剥がれ・浮き、基礎パッキン及び水切りの状況など
外壁ひび割れ、仕上材の欠損や割れ、継ぎ目シーリング材の破断、設備機器の固定箇所など
屋根割れ、欠損、ズレなど
バルコニー床の沈み、勾配、排水溝のつまり、手すりのぐらつき、物干し金具の取付・動作など
玄関ポーチ床の仕上げ、壁や天井の仕上げ、照明やインターホンの動作
屋根裏金物の設置状況、配線の整理・固定状況、断熱材の有無・設置状況、湿気やカビ
床鳴り、沈み・浮き、隙間、傾きなど
壁・天井仕上材の割れ・めくれ、隙間、下地不良、傾き、漏水跡など
建具・扉・サッシかたぐき、開閉時の音、隙間、鍵の動作、ガラスの割れ、ビスの締め付けなど
棚・収納扉・棚板のがたつき、戸当たりなど
設備水回りの排水テスト、配管からの漏水、排水音の異常、換気設備の往査状況、手すりの設置状況など

建物の隅から隅までチェックするため、建物面積30坪程度の住宅で2時間程度はかかります。時間に余裕をもったスケジュールを組んでおきましょう。

施主検査で不具合があったら?

施主検査で不具合が見つかった場合は、工事業者が修繕を行います。

施工検査から引き渡しまでの期間が短いと、十分な補修が間に合わないことも……。そのため、施主検査から引き渡しまでは最低1週間はあけた日程を組むのがおすすめです。

あると便利!施主検査の持ち物

施主検査は施工会社と一緒に行うため、基本的には手ぶらで行ってOK。ただ「持っていくと便利なもの」もありますよ。

たとえばデジカメ。不具合や傷を記録するのに役立ちます。後々のトラブルも防げます。

図面やメジャーは、設計予定通りに作られているかを確認するのに便利。マスキングテープも持参し、傷や汚れを指すために貼っておくと、施工業者にも分かりやすいですね。

実際にある!施主検査で見つかった不具合の例

国内で1年間に完成する新築戸数は、およそ80万戸にのぼります。それだけの数があれば、施主検査で不具合が見つかるケースもあるのでは……、と思い、木のんホームが調べたところ、やはりありました。

実際にあった不具合の一例を紹介します。ご自身が施主検査を行う際のチェックポイントにしてみてください。

例1、ドアがスムーズに開閉できない!

ドアはわずかなゆがみでも、スムーズに開け閉めできなくなります。すべてのドアを必ず実際に開閉し、動きを確認することが大切。

電動タイプも動作音や引っ掛かりがないか、実際に動かしてみてください。

例2、図面通りに作られていない!

垂れ壁(下がり壁)の高さや間口など、図面と寸法が異なるというケースも見られました。垂れ壁が防煙壁の役割も兼ねている場合は、高さが重要になります。

メジャーを持参し、実際に寸法を測りながらの施主検査がおすすめです。

例3、壁やフロアに傷が!

特に人目につきにくい場所は、よくチェックしてみてください。シューズクロークやクローゼットの中など、隠れた場所に傷がついていたという事例もありました。

例4、動かない設備がある!

配線不良などが原因で、電球やリモコン動作の設備が動かなかったという例もありました。照明はすべて点ける、設備はすべて動かしてみる、トイレの水も流してみるなど、実際の生活を想定しながらチェックしてくださいね。

例5、トイレットペーパーホルダーの位置が図面と違う!

トイレットペーパーホルダーやタオル掛けの位置が、図面とズレていたという声も見られました。細かな点ですが、毎日の生活しやすさに影響するものですから、注文通りの仕上がりになるよう直してもらいましょう。

施主検査では図面も持っていくと役立ちます。

プロの目で施主検査を実施!「ホームインスペクション」とは?

チェック項目が多く、壁の仕上がりや床の傾きなど、素人には判断が難しい点も多い施主検査には、「ホーインスペクター」という専門家を同行することもできます。

ここからは、住宅のプロであるホームインスペクターについてと、失敗しないホームインスペクターの選び方を紹介しましょう。

ホームインスペクションの目的と費用

「ホームインスペクター」とは、プロの住宅診断士のこと。住宅だけではなく、建築や不動産に至るまで総合的な知識を持ち、中立の立場で住宅診断を行ってくれます。

「ホームインスペクション」とは、ホームインスペクターを同行し建物の状況を確認することを指します。

戸建て住宅でホームインスペクションを行う際の料金は4~8万円程度(所要時間2〜3時間)が相場です。引き渡し後に不具合が見つかり、トラブルになることを防ぐリスクヘッジと考える人が多いようです。

ホームインスペクターなら、こんなチェックも可能!

プロであるホームインスペクターは、一般の方にはチェックが難しい部分も入念に見てくれます。

以下は、実際にホームインスペクターがチェックする方法の一例です。

天井裏実際に天井裏に上がり、金物や工法を確認。設計図通りか、建築基準法に沿っているかをチェックします。
外壁・室内壁診断棒で壁を叩き、音で状態を判断。
レーザー水平器で柱のゆがみをチェック。
床下水漏れはないか、基礎は強固にできているかなど、床下に実際に潜ってチェック。

ホームインスペクターの選び方

信頼できるホームインスペクターに出会うためには、次の4つのポイントを押さえることが大切です。

資格の保有状況ホームインスペクターは、一級・二級建築士資格資格も持つことが望ましいと言われています(鉄筋・鉄骨住宅なら一級、木造なら二級以上)。
活動実績豊富な住宅診断経験こそが、正しい判断につながります。活動年数、調査実績件数も要チェック。
不動産売買知識売主・買主双方の中立で診断を行うのがホームインスペクター。そのため不動産取引の知識を持っていることも必要です。
フォロー体制診断後のフォロー体制も確認!契約にかかわる問題が生じた場合などの対応も問い合わせてみましょう。

ホームインスペクターの調査で不具合が分かった場合、きちんと修繕した上で引き渡ししてもらうことが大切。

検査の精緻さに加えて、確実に補修を指示できるコミュニケーション能力や正確さ、人柄なども重視してホームインスペクターを選ぶようにしましょう。

長く安心して住むために保証期間確認と点検を!

安心して長く住み続けるために、建物が完成したら「保証期間」を必ず確認しておきましょう。また定期点検もこまめに行うことが大切です。

住宅の保証期間

建物は最低10年の保証期間が、法律で定められています(瑕疵担保責任)。この間に見つかった欠陥は、施工業者が責任を持ってメンテナンスしてくれます。

また設備・器具の保証期間は、一般的に1〜2年となっています。

1年に一度は、家全体の定期点検を

不具合や修繕が必要な箇所は、早期発見・早期補修が家を長持ちさせるコツ。特にヒビ割れなどの不具合は、広範囲に広がる前に手を打つことで修理費用も押さえられ経済的です。

家全体を1年に一度は点検し、メンテナンスが必要な箇所がないかチェックしましょう。外壁にヒビはないか確認し、天井裏や床下の点検口を開けてカビや水漏れがないか目視し、設備の動作確認も行います。

特に台風や地震、大雨、浸水などの天災は、知らぬ間に住宅に細かな傷を付けていることも。災害が落ち着いたら、細かく確認しておくと安心です。

また10年に一度はプロの点検を受けると安心!新築住宅は、保障期間10年が切れる前に、一度見てもらうと良いでしょう。

施工時のデータを保管

住宅も長く住むうちに、大規模な改修やリフォームが必要になることもあります。将来のメンテナンスに備え、図面などの施工データも保管しておきましょう。

間取り変更を伴う改修工事には図面が必須!図面がなかったばかりに建物の構造に関わる箇所を破損してしまい、家が傾いた……、というトラブルも起こりかねません。

将来の改修・リフォームの事故を回避するためにも、施工データは大切に保管しておいてください。

まとめ

注文住宅が完成してから引き渡しまでに重要な「施主検査」とホームインスペクター(プロの住宅診断士)、また押さえておきたい点検項目についてまとめてきました。

入居前の施主検査は、住宅の不具合や図面通りの出来かを確認するまたとない機会。ドアの開閉や換気扇の動作、外壁の傷など、細かな点まで見るようにしてください。

こだわりの注文住宅、長く快適に暮らすには「不具合の早期発見・早期修繕」が欠かせません。建物の耐久性が低下する前にメンテナンスできるよう、こまめにチェックしておきましょう。

新築住宅は法律で10年の保証が義務付けられています。また施工会社独自の長期保証がついている場合も。保証期間を活用し、住まいのお手入れをしていきましょう!

この記事を書いた人

admin2021