家を購入したいのに夫婦で意見が合わない!どうすれば解決できる?

家の購入は、人生の一大イベントです。将来にわたるライフプランにも関わるため、お互いの価値観や理想の衝突も増えます。

そんな家の購入に際して、もし夫婦で意見が合わなかったら……?

この記事では、住宅購入で夫婦の意見が割れやすいポイントや解決策を、具体例を交えながら解説します。いま意見が合わなくて困っている人も、これから揉めそうだなと予感している人も、ぜひチェックしてみてください。

「家の購入で意見が合わない」経験をした夫婦は半数以上

「家の購入で意見が合わない」経験をした夫婦は半数以上

夫婦といえども、価値観やライフスタイルはそれぞれ異なります。家の購入で意見が合わないのは、珍しいことではありません。

ある調査によると、家の購入時に意見が合わないことがあった夫婦は半数以上に上るそうです。

【家の購入時に夫婦の意見が合わなかったことランキング】経験者500人アンケート調査|Alba Link 不動産総

引用:【家の購入時に夫婦の意見が合わなかったことランキング】経験者500人アンケート調査|Alba Link 不動産総研

夫婦は住宅購入の主役です。もし夫婦で深刻に意見が異なると、「家の設計が決まらない」「購入手続きが進まない」といったトラブルに発展する場合もあります。

では、夫婦で意見がズレやすいのはどのようなポイントでしょうか?次の章で解説します。

家の購入で意見が合わない10の原因

家の購入で意見が合わない10の原因

住宅購入時に夫婦の意見が異なりやすいのは、次の10項目です。

  1. 間取り
  2. 立地
  3. 予算
  4. デザイン・内装
  5. 設備・機能
  6. 収納
  7. 駐車場・庭
  8. 居室の数
  9. 天井の高さ
  10. 購入のタイミング

意見の相違を具体的に見ていきましょう。

1. 間取り

注文住宅は間取りを自由に設計できる反面、それぞれの希望がぶつかりやすく、意見の相違につながります。一例をを紹介します。

<間取りの意見相違例>

  • 「リビングを吹き抜けにするかで意見が分かれた」
  • 「玄関や階段の位置をどこにするかで衝突した」
  • 「家事動線を優先するか、コストダウンできる間取りにするかで揉めた」

間取りは暮らしやすさに直結するポイントです。また家が建った後に「やっぱりB案で」と思っても変更できません。だからこそ、それぞれが納得いく間取りにするまでに苦労するようです。

また「現在の暮らしやすさを優先するか、シニアになってからの暮らしやすさを優先するか」で意見が割れるケースもあります。

2. 立地

2. 立地

土地も、何を優先して決めるかで意見が合わない夫婦が多いポイントです。職場や学校、周辺環境など考慮すべき要素も多いため、すべての条件を満たす土地を探そうとして行き詰まるケースもあります。

<立地の意見相違例>

  • 「静かな立地を希望する私、通勤に便利な立地が良い夫」
  • 「子どもの学校を優先するか、会社の近くにするかで揉めた」
  • 「お互いの実家からの距離をどの程度にするかで意見が割れた」

通勤の利便性を優先したい夫と、子どもの学校や実家からの距離、日常生活の送りやすさを優先したい妻という構造になることが多いようです。

3. 予算

予算は現実問題なだけに、意見が割れる夫婦が大勢います。また住宅ローンは金融機関や商品によって金利が異なります。お得なプランを徹底的に調べてから決めたいタイプと、「とりあえず早く借りて事を先に進めたいタイプとで意見が割れることもあります。

<予算の意見相違例>

  • 「予算を考えずにオプションをつけたがるパートナーに驚いた」
  • 「貯金から頭金をいくら出すかで意見が割れた」
  • 「どの銀行の、どの住宅ローンを借りるかなかなか決まらなかった」

予算の許容範囲に対する考え方も、相違が生まれやすいポイントです。始めに予算をすり合わせておかなかったために、打ち合わせの度に揉める夫婦もいます。

4. デザイン・内装

4. デザイン・内装

デザインは「こだわるか・こだわらないか」で意見が分かれます。またこだわるほどに予算も上がるため、予算面の揉めごとに発展する可能性もあります。

「真っ白が好み/ダークブラウンが好み」など、二人が正反対の好みを持っていると、ますます意見が合わなくなりやすい点でもあります。

<デザイン・内装の意見相違例>

  • 「デザインにお金をかけるか、既成デザインを採用して別のところにお金をかけるかで意見が合わなかった」
  • 「ナチュラルな雰囲気が好きな妻と、アメリカンテイストが好きな夫とで揉めた」
  • 「外壁材や玄関ドアなど、外観で意見が一致しない」

夫婦のどちらかがデザインに無頓着だと問題がおきませんが、それぞれにこだわりがあるとなかなか決まらず設計が先に進まない要因になります。

5. 設備・機能

5. 設備・機能

設備やオプション、機能は「何を・どこまで充実させるか」という点で意見が合いにくいポイントです。家事を主に担う人は最新設備を揃えたい一方、1つ追加すると数十~数百万単位の出費となるため、パートナーが予算面から反対する対立構造が見られます。

<設備・機能の意見相違例>

  • 「深型食洗器を付けるか、浅型にして予算を別に割り振るかで揉めた」
  • 「工務店が勧めるままに設備をつけようとする夫と、絶対に使わないという妻とで意見が合わなかった」
  • 「太陽光パネルの容量や蓄電池をどうするかで意見が割れた」

最新設備を備えても、使わなければ意味がありません。予算配分にもかかわる問題のため、何をどこまで揃えるかは難しい問題です。

6. 収納

6. 収納

収納は「スペース」「場所」それぞれで意見が合わない事例が良く見られます。とくに1階の水回りやキッチンなど、共有スペースの収納をどうするかで意見が分かれる夫婦が多いようです。

<収納の意見相違例>

  • 「水回りを回遊動線にして、人気のランドリースペースをつくりたい。しかし夫は、そんなものいらないという意見」
  • 「リビングにできるだけモノを出したくないので、収納スペースを大きく確保したい派と、収納スペースよりも居住空間を広くしたい派で揉めている」
  • 「ウォークインクローゼットに収納棚をつけるかどうかで意見が合わない」

収納そのものに合意ができても、「内部に棚をつけるかどうか」などの細かな点で揉めるケースもあります。

7. 駐車場・庭

7. 駐車場・庭

駐車場や庭などの外構も、意見が割れるポイントです。内装は妻側のこだわりが多く、外構は夫側のこだわりが強めに出る夫婦が多いようです。

<駐車場・庭の意見相違例>

  • 「車が出入りするスペースを確保したい、と夫。妻は車の出入りより子どもが遊べるスペースを広く取りたいと言い、意見が合わない」
  • 「バルコニーを広くしたい夫と、掃除が大変だからバルコニー不要という妻」
  • 「ガレージスペースをどれくらい確保するかで意見が割れた」

夫は趣味や理想の生活を優先して考える一方、日常の掃除や手入れのしやすさを重視する妻という構図もよく見られます。

8. 居室の数

部屋の数は非常に悩ましいポイントです。部屋数を増やせば1室あたりは狭くなり、広くしようと思えば必要な部屋数が確保できなくなるからです。また「そもそも何部屋必要か」で意見が合わない場合もあります。

<居室数の意見相違例>

  • 「1人1室にするか、夫婦で1室・子ども用に1室にするかで意見が割れた」
  • 「いずれ巣立つから子供部屋は不要という夫と、子どもにも専用の部屋が必要という妻とで意見が合わない」

リビングを吹き抜けにすると2階部分の面積が少なくなるため、個室の数や広さに影響します。居室の数・広さとリビングの吹き抜けと、どちらを優先するかで揉める夫婦も見られました。

9. 天井の高さ

9. 天井の高さ

天井が高いと開放感のある間取りが実現します。一方、天井を高くするとそれだけ建築資材が必要となり、予算もかさみます。

<天井高の意見相違例>

  • 「背が高い夫と小柄な妻という組み合わせのため、理想の天井高が違う。それぞれの希望で建ててみるわけにもいかず、困った」
  • 「夫はリビングの天井が高い方が良いという。しかしリビングで過ごす時間は、1日のうちわずか。そのために予算がかさむのは…と悶々とする」

盲点かもしれませんが、天井の高さで意見が合わないケースもあると知っておいてください。

10. 購入のタイミング

そもそも、家を購入するタイミングで意見が合わないケースもあります。家の購入には「結婚・子どもの誕生」「子どもの入学・進学」「転職・転勤」などいくつかのきっかけがありますが、どのタイミングで決心するかで意見がズレるケースです。

<購入時期の意見相違例>

  • 「「子どもの学校が決まってから家を買いたい妻と、良い物件があれば決めてしまいたい夫とで意見が合わない」
  • 「住宅ローンの金利が下がり切ったタイミングで家を買いたい夫。そうするうちに、条件の良い土地はどんどん売れているのにと納得がいかない」

土地は早いもの勝ちです。人気のエリアであるほど、迷っているあいだに他の人に買われてしまいます。「いまだ!」と思った時に思い切って決める決断力も、家づくりでは大切なポイントです。

<意見が合わないポイント別>後悔しない家づくりのコツ

<意見が合わないポイント別>後悔しない家づくりのコツ

家の購入で意見が合わない場合が多い10項目を紹介しました。しかし、意見が割れたままでは家づくりが進みません。

解決案を見つける際に注意しておくべきポイントを、項目別に解説します。

1. 間取り・居室の数

間取りは「家族構成」と「時間経過」の2点に注目して検討します。もっとわかりやすくいうと、「お子さんの人数(=子供部屋の必要数)と、お子さんが巣だった後にどうするか」を決めてください。

子ども部屋が決まると、必然的に他のスペースに使える面積が決まり、間取りが決めやすくなります。

2. 立地

2. 立地

立地は「学校・通勤・生活環境」の三角形を意識して選びます。ただし学校は、6年・3年ごとに通う場所が変わる点に注意してください。一般的には小学校に近い立地が好まれますが、小学校までの距離を優先した結果、高校まで片道2時間となってもお子さんが大変です。

また通学や通勤には、交通費がかかります。交通費が出ない職場の場合は、家を安く買えたとしても交通費が家計負担になる可能性も考慮しましょう。

日常的な買い物のしやすさ、また近くに良い病院があるかどうかも、長く住むためには大切な要素です。

3. 予算

一般的に、住宅ローンの返済負担率(年収に占める返済額の割合)は25%ほどが適正、つまり無理なく払える範囲といわれます。住宅ローンの審査自体は返済負担率が30~40%でも通ってしまう場合があるのですが、上限額ギリギリを借り入れると、無理な返済計画になる場合があります。

返済負担率が25%におさまるような予算を組み、予算内で家を建てる計画を組みましょう。たとえば年収500万円の人が返済負担率25%で住宅ローンを借りる場合の計算は、次のようになります。

年収(税込)500万円×返済負担率25%=125万円(年間支払額)
125万円×35年ローン=借入額目安 4,375万円

※あくまで概算です。金利は算入していません。

4. デザイン、内装

デザインや内装は、工務店や建築士など第三者の意見を聞くのがおすすめです。自分たちだけでは決めきれない箇所について、客観的な意見や施工事例を紹介してくれます。

また凝ったデザインや素材を使うと、予算も上がります。予算内でできるだけ理想に近いデザインを実現するアイディアも相談してみましょう。

5. 設備・機能

5. 設備・機能

設備や機能は、「どこまで求めるか」を決めましょう。晴天率が高い地域なら洗濯ものを外に干せるため、浴室乾燥機は不要かもしれません。食洗機はフライパンもはいる深型は譲れないが、海外の有名メーカー製ではなくても十分だという人もいます。

「どこまで欲しいか」という上限を決めると候補が絞り込まれ、決めやすくなります。

6. 収納

収納を決める際は「収納率」という考え方を参考にしてみてください。収納率とは、延べ床面積に対する収納スペースの割合をあらわします。ライフスタイルによって差はありますが、一般的に10%程度が最適だといわれます。

30坪の住宅なら、3坪(9~10畳)ほどは収納スペースにしておきたい、ということです。

また最適な収納スペースの広さは、モノの量によっても変わります。収納したいモノを洗い出し、すべてを納めるにはどれくらいの広さが必要かシミュレーションしてみても良いでしょう。

7. 駐車場・庭

7. 駐車場・庭

外構は「必須のスペース」から決めるのがコツです。車が2台あるお宅なら、2台停められるだけの駐車場は必須です。

子どもや犬を庭で遊ばせたい場合は、庭の広さと敷材から考えましょう。不用意に外に出ないよう、フェンスで囲う対策も必要です。フェンスの設置はお隣の境界線にも配慮が必要なため、工務店に相談してみてください。

8. 天井の高さ

一般的に、木造家屋を新築する場合の天井高は2200~2400mm(220~240cm)です。これ以上高くしたい場合はオプション扱いとなり、費用がかさむ場合がある点を押さえておきましょう。

最適な天井高を知る方法は、さまざまな物件を内覧してみることです。照明の位置や窓のつけかたで若干印象は変わりますが、見た物件すべてで天井高を聞いてくると、好みの高さが把握できます。

本来の高さより高い印象にしたい場合は、工務店に相談してみてください。垂れ壁の有無や採光の工夫で、高さの印象を変えることも可能です。

9. 購入のタイミング

9. 購入のタイミング

購入のタイミングについて意見が合わない場合は、タイミングではなく「理想の家」や「理想の将来」を話し合ってみるのがおすすめです。

家や将来、ライフプランを話し合うと、かならず「子どもはどこで育てようか」「自分たちが年老いたらどんな暮らしをしたいか」という話になるからです。暮らしと家は切り離せない関係にあるため、自然と「家を購入するなら、いつが良いか」と自然に考えられるようになります。

先に家を買った知人がいれば、率直な感想を聞いてみるのも参考になります。

家の購入で意見が合わない場合の解決策

家の購入で意見が合わない場合の解決策

家づくりで夫婦の意見が合わなかった場合、どう解決すればよいのでしょうか。お互いが納得できる家づくりにするために、意見の相違を解決する方法を解説します。

「配偶者の意見を尊重する」人も多い

夫婦で意見が合わなかった場合の解決策として、相手の意見を尊重する人も少なからずいます。ある調査では、女性の2割・男性の3割ほどが「配偶者の意見を採用した」と回答していました。

「配偶者の意見を尊重する」人も多い

引用:【家の購入時に夫婦の意見が合わなかったことランキング】経験者500人アンケート調査|Alba Link 不動産総研

調査を詳しく見ると、「相手の方が使う頻度が多い場所については、相手の意見を尊重する」ケースが多いようです。「キッチンは、料理をメインに担当する人に合わせる」「収納やランドリースペースは、掃除・洗濯を担当する人の希望を通す」といった具合です。

使う時間が長い人にとって使いやすい状態は、快適な暮らしに欠かせない要素。理にかなった解決策だといえます。

夫婦の希望を徹底的に出し合う

家は、これから長い時間をともに過ごす場所です。夫婦それぞれが納得するまで、徹底的に希望や意見を出し合い、解決策を探すことも大切だと押さえておきましょう。

意見を出し合う中で、これまで知らなかった相手の価値観に気づけるかもしれません。また家づくりが将来を真剣に考えるきっかけとなり、パートナーとしての絆が深まることも期待できます。

お互い遠慮せず、一度希望を徹底的に出し切ってみましょう。

お互いに「譲れない条件」を決める

お互いのこがわりを100%叶えるのは、難しいかもしれません。しかし家づくりの納得度を高めるために、お互いに「ここだけは譲れない条件」を話し合ってみましょう。自分は相手ほどの熱量をその場所に関して持っていないとわかれば、相手の好みを優先することも納得いくはずです。

また譲れない条件を決める際は、「なぜ譲れないのか」という理由もあわせて伝えます。希望を通すために、夫婦間でプレゼンテーションを行うケースもよくあります。

交換条件や担当制で決めるのもアリ

「自分の好みを1つ通す代わりに、相手の好みも1つ受け入れる」と、条件の交換を繰り返し家を完成させるケースもあります。

また「キッチンは妻のこだわりを、外構は夫のこだわりを」と場所を分担し、責任を持って完成させる夫婦もいます。

家の決め方に正解はありません。どのような決め方なら自分たちが納得できるのかを見つけ、決めるプロセスを楽しんでみてください。

予算・住宅ローンは必ず合意形成を

理想だけでは決められないのが、予算と住宅ローンの話です。予算の上限と住宅ローンの組み方だけは、必ず夫婦間の合意形成をしておいてください。

現代は先行き不透明です。正社員だからといって、定年まで安定収入が確保されるとも言い切れません。35年ローンを払う間、想定外の事態になっても困らないよう、支払額や保険は十分検討し決めましょう。

また教育費や自分たちの老後資金、親の介護にかかる費用など、将来にわたるお金の問題についても、あわせて相談しておくのがおすすめです。

工務店や不動産会社にも相談する

家づくりでは、どんな細かな点も工務店や不動産会社に相談しましょう。住宅ローンを組む金融機関の選び方、希望の設備メーカー、外構、予算など、どんな内容も「まずは相談」が重要です。

事前に伝えておけば、良い提案がもらえたり、対応してもらえたりする場合があります。家は建ててしまうと変更がきかないため、「事前に・余裕をもって」相談するのがポイントです。

まとめ

家づくりはワクワクする一方、意見が合わずにイライラする場面もあります。互いに強いこだわりを持つ夫婦ほど、価値観がぶつかり合い、揉める要因になります。もし家の購入で意見が合わなかった場合は、お互いに一歩引き、相手の考えに耳を傾けてみましょう。

相手も家や家族の将来を思って、意見を出しているはずです。自分にはなかった視点や発見があるかもしれません。

お互いに言いたいことはしっかり言い、妥協点を見つけることが大切です。「使う頻度が多い人の意見を尊重する」「担当箇所を決める」などの夫婦ならではのルールを決め、スムーズに購入できるよう工夫しましょう。

この記事を書いた人

admin2021