家を建てる際、もっとも重視する項目は何でしょうか。
ある調査では半数以上の人が「災害に強いこと」と回答しています。近年は「数十年に一度」と形容される災害が毎年のように起きており、災害に強い家へのニーズが高まっています。
この記事は南さつま市でこれから家を建てる人に向けて、災害に強い家を建てるポイントを解説します。土地探しで欠かせない「ハザードマップ」の見方や、災害に強い家の構造もまとめました。
理想と強さを兼ね備えた家を建てるヒントにご活用ください。
ハザードマップとは
ハザードマップとは、自然災害による被害の程度や範囲を可視化した地図です。被害の軽減や防災対策を目的としており、災害の発生を確定するものではありません。
ハザードマップでチェックできる情報
ハザードマップには、次の2つの情報が記載されます。
- 被災想定区域
- 避難場所・避難経路
また土地の成り立ちや過去に起きた大きな災害の実際と比較できる地図もあります。
ハザードマップは「防災マップ」「被害予測図」「被害想定図」などと呼ばれる場合もあります。
ハザードマップで調べられる災害の種類
ハザードマップで調べられる災害の種類は、以下のとおりです。
災害の種類 | 解説 |
---|---|
洪水 | 河川が氾濫し堤防が決壊したときに、浸水が想定される区域。水深が表示される場合もある。 |
内水 | 大雨などで川が満杯になり、排水機能が停止し水があふれたときに被害が想定される区域。 |
高潮 | 台風・発達した低気圧による海面の高まりが被害を及ぼす範囲。 |
津波 | 地震・火山活動などによる大規模な津波が到達・被害を及ぼす範囲。 |
土砂災害 | 土石流やがけ崩れの危険がある区域。 |
火山 | 火山が起こす災害(噴石・火砕流・融雪型火山泥流など)の被害が及ぶおそれのある区域。 |
地震 | 地震によって起きる被害(建物の倒壊、延焼など)が想定される区域。 |
液状化 | 地震の振動で地盤が揺さぶられ、液体の状態に変化する危険がある区域。 |
どの災害の危険区域にも指定されていない地域もあれば、複数の危険性を併せ持つ地域もあります。とくに「水の近く」は危険性が高い傾向にあります。水の近くは洪水・内水・高潮・津波と、水に関係する災害が起きやすいためです。
後ほど、南さつま市の実際のハザードマップの見方を解説します。ハザードマップを正しく確認し、安全性の高い土地探しに役立てましょう。
「防災マップ」との違い
ハザードマップと似た地図に「防災マップ」があります。
防災マップは自治体が作成している地図で、災害が起きたときの避難経路や避難場所、防災機関などの情報共有が目的です。防災マップは自治体のホームページで公開されています。
万一に備え、住む地域の防災マップは印刷して手元においておきましょう。大規模災害が起きると電力やインターネット回線が遮断され、自治体のホームページにアクセスできなくなるおそれもあります。
防災マップのなかには、災害による被害と重ね合わせて表示されているものもあります。地震や洪水、浸水など想定される被害別に避難場所と経路を確認しておきましょう。
南さつま市のハザードマップを見る方法
南さつま市のハザードマップを見てみましょう。国土地理院が公開している「ハザードマップポータルサイト」が使いやすさ・情報の精度ともに抜群です。
また南さつま市のホームページでは「防災ハザードマップ」が、鹿児島県のホームページでは「防災マップ」がそれぞれ公開されています。
国土地理院「ハザードマップポータルサイト」
国土地理院は国土交通省の特別機関です。「ハザードマップポータルサイト」では全国のハザードマップを確認できます。
ハザードマップポータルサイトは、さまざまな情報を地図上に重ねて表示できる機能が便利です。災害のリスクや道路防災情報、土地の特徴・成り立ちなどを重ねてみると、思わぬ危険性が見つかるかもしれません。
ハザードマップポータルサイトの使い方は、以下のとおりです。
1. サイトにアクセスします。すると、次の画面が表示されます。
2. 赤く囲んだ「場所を入力」に、南さつま市と入れてみましょう。すると、南さつま市の中心部が表示されます。
任意の場所を入力すると、その場所周辺が表示されます。
ここから先の詳しい使い方は後述しますので、続きをご覧ください。
南さつま市「防災マップ」
南さつま市が公開する防災マップもチェックしてみましょう。「南さつま市 防災マップ」と検索すると、マップにアクセスできます。
南さつま市は市内を5つのエリアに分け、それぞれにマップを作っています。
- 加世田
- 笠沙
- 大浦
- 坊津
- 金峰
南さつま市の防災マップでは「洪水」「津波」「土砂災害」「ため池浸水」の危険エリアを確認できます。また指定避難場所や防災関連施設も明示されています。
引用:防災ハザードマップ(南さつま市情報マップ) | 南さつま市
鹿児島県「防災マップ」
鹿児島県の防災マップでは、県下全域のハザードマップを一覧で確認できます。南さつま市と他の市町村の危険性を比較したい土地探しに活用できます。
鹿児島県のハザードマップは、土砂災害の危険個所をピンポイントで知るときに使ってみてください。次の情報を地図上に表示させられます。
- 土石流危険渓流
- 土石流被害想定区域
- 地すべり危険箇所
- 地すべり被害想定区域
- 急傾斜地崩壊危険箇所
- 急傾斜地被害想定区域
ハザードマップの見方
ここからは国土地理院「ハザードマップポータルサイト」をつかって、ハザードマップの調べ方を詳しく解説します。
さまざまな危険情報を1枚の地図に重ねて表示できる「重ねるハザードマップ」の使い方をマスターしましょう。
まず国土地理院の「重ねるハザードマップ」で南さつま市中心部を表示してみてください。その上で、画面の左上にある「災害種別」のアイコンに注目します。
枠の中に以下の6つのアイコンがあります。
- 洪水
- 土砂災害
- 高潮
- 津波
- 道路防災情報
- 地形分類
クリックすると、それぞれの災害が想定される区域が、地図上に色分けして表示されます。試しに「洪水」をチェックしてみましょう。
地図上の「洪水の危険性があるエリア」に色がつきました。色の濃さで危険度があらわされています。
さらに「土砂災害」の危険区域を重ねてみます。
ピンク色で表示された洪水の危険区域に、黄色と赤色の土砂災害危険区域の表示が重なりました。国土地理院のハザードマップは、このように土地の危険性を複数の視点でまとめてチェックでき便利です。
「重ねるハザードマップ」は、幹線道路や主要生活道路が判別できるレベルまで拡大表示できます。購入予定の土地について、危険度をよく調べてみてください。
ハザードマップから分かる地形情報
国土地理院の「重ねるハザードマップ」では、土地の成り立ちを知ることもできます。
土地の安全性はその土地の成り立ち、歴史の影響を強く受けます。土地の成り立ちを知ると地盤の強さがわかり、隠れた危険性を見つけられる場合もあります。
土地の成り立ちの例
土地の成り立ちから危険度を推測する方法を、いくつか紹介します。
★台地・段丘 台地や段丘は周囲より標高が高く、河川氾濫のリスクはほとんどありません。ただし高台にある「凹地・浅い谷」は注意しましょう。豪雨の際に雨水が集まりやすく、浸水のおそれがあります。 |
★田んぼ・沼だった場所 田や沼だった場所を造成し、宅地にする場合があります。地盤改良が施されているとはいえ、長い間多量の水分を含む土地だった成り立ちを考えると、地盤の緩さに懸念が残ります。 |
地盤の強さは地盤調査でも調べられます。ただし地盤調査には高額な費用が必要です。土地を購入する前に土地の成り立ちを調べておけば、地盤の強い土地に出会える可能性がたかまり余計な調査費用を節約できます。
土地の成り立ちを調べる方法
土地の成り立ちも、国土地理院の「重ねるハザードマップ」で調べられます。
「重ねるハザードマップ」で南さつま市の任意の場所を開いたら、「すべての情報から選択」>「土地の特徴・成り立ち」>「土地分類基本調査(地形分類図)」と選択します。
すると、地図がさまざまな色に塗りわけられました。
配色の判例は「土地分類基本調査(地形分類図ベクトルタイル)について」で確認できます。
また同じく「すべての情報から選択」>「大規模盛土造成地」を選択すると、谷や沢を埋めたり、傾斜地盤上に盛土した大規模盛土造成地を表示させられます。
大規模盛土造成地は過去の大地震時に起きた滑動崩落などの被害に基づき、安全性の確認が推奨される地域を示します。
重ねるハザードマップをつかうと、土地の強さをさまざまな観点で確認できます。ぜひ利用してみてください。
南さつま市で想定される災害に強い家を建てるポイント
南さつま市で心配な災害はまず台風、そして台風にともなう水害(洪水・浸水・津波)、土砂災害ではないでしょうか。
近年は豪雨災害も頻発し、台風の時期以外も気を抜けません。
南さつま市で家族が安心して暮らせる「災害に強い家」を建てるポイントを解説します。
南さつま市で水害に強い家を建てる
南さつま市は川沿い地域の土砂災害や、川辺町・万之瀬川流域の洪水が想定されています。水に関連する災害は「家の中に水を浸入させないこと」がキーポイントになります。
住宅の水害対策として推奨される、4つの手法は以下のとおりです。
- かさ上げ
- 高床
- 囲む
- 建物防水
引用:水害対策を考える 4-1-3 浸水の予防・人命を守る家づくり|国土交通省
図から、大量の水が家の周囲に押し寄せても「徹底的に室内に水を入れない」構造になっていることがわかります。
かさ上げ
かさ上げとは、盛り土をほどこして敷地全体および家の基礎の高さを確保する方法です。周囲より土地の高さを上げるため、敷地内に水が入りにくいといわれます。
敷地をかさ上げすると、完成する建物の高さも高くなります。高さ制限がある地域は、制限にかからないかどうか施工会社に確認してみてください。
高床
高床とは、住宅の1階部分を高くする手法です。敷地内は浸水しますが、居住空間には水を入れない考え方に基づきます。1階をピロティやガレージにするなどの建て方で実現できます。
囲む
「囲む」とは住宅の周囲に防水性の高い塀や止水板を設置し、浸水を防ぐ手法です。家の基礎部分への浸水を防げる点がメリットです。
ただし水圧に負けない強度の塀をつくらなければなりません。費用もそれなりに必要で、予算との相談になる可能性があります。
建物防水
建物防水とは、建物自体の防水性を高める手法です。「浸水のおそれがある1階部分を、水に強い鉄筋コンクリート造にする」「1階の外壁に防水塗料を塗る」などの手法があります。玄関やサッシなどの開口部には止水板を設置します。
電気系統の設置場所にも一工夫を
建物自体が水害につよくても、電気系統が浸水しては生活が成り立ちません。水害に強い家を建てるなら「1階部分に水に弱い設備を置かない」ことも大切です。
たとえば電気系統を1階と2階で分ける(ブレーカーを別にする)と、万一1階部分が水没しても2階では電気を利用できます。2階だけで生活が成り立つよう、水回りやキッチン、リビングを2階に配置するのも良いアイデアです。
エアコンの室外機や給湯器、太陽光発電のパワーコンディショナーなど、家の外に置く設備も2階程度の高さに設置すると安心度が高まります。ただしこれらの設備は重量があるため、耐荷重量が十分ある場所に設置します。
南さつま市で土砂災害に強い家を建てる
土砂災害は山やがけが崩れ土砂が大量に押し寄せることで発生します。押し寄せる土砂を止めることはできません。よって土砂災害に強い家を建てるには、家の構造そのものを頑丈にする必要があります。
頑丈な家を建てるポイントは、2つあります。
- 家の形状をシンプルにすること
- できるだけ軽い屋根材を使うこと
シンプルな形状の家は、家にかかる負荷を適度に分散します。土砂が一気に負荷をかけても一か所に力が溜まることがないため、耐えられるのです。
しかし凹凸が多い家は負荷が一か所に集まり、分散力が少なくなります。結果、押し寄せる土砂に耐えられず破損してしまう恐れがあります。
もっとも強度が高い家は「正方形に近い総2階」です。
凹凸のある家を建てたい場合は、四角形をいくつか組み合わせ長方形の四方面それぞれに耐力壁を4分の1以上設置すると強度を確保しやすくなります。
屋根材は軽い方がおすすめです。瓦など重い屋根材は家全体に負荷をかけ、強度を下げます。コロニアルやガルバリウム鋼板などの軽量タイプを検討してみてください。
<注意> 「土砂災害防止法」に基づき、土砂災害のおそれがある区域は「イエローゾーン」「レッドゾーン」に指定されています。 レッドゾーン内に住宅を建てる場合、土砂災害に対応する設備(防護壁・待受擁壁など)の設置が義務付けられています。 |
土砂災害のリスクを減らす最大の対策は、土砂災害の危険性が考えられる場所に住まないことです。ハザードマップをしっかりチェックし、少しでも安全が確保できる土地を探し購入しましょう。
南さつま市で安全な家を建てるなら「木のんホーム」にお任せください
一生に一度といわれる家づくりです。長く安心して住める家を、安全な土地に建てたいと思うのは自然な気持ちでしょう。
では最大限に安全が約束された家は、どうすれば建てられるのでしょうか。
まず土地探しです。記事で紹介したハザードマップをチェックし、希望するエリアで安全度の高い場所を探します。もし希望エリアで土地が売り出されていなければ、木のんホームにご相談ください。鹿児島に長年根付いてきた実績をもとに、できるだけ希望に合う土地探しをお手伝いします。
家そのものの安全性も高めましょう。耐震性能、気密性・断熱性など性能にこだわった家にすることも大切です。
安全で安心でき、さらにおしゃれで使いやすい家。
そんな欲張りかもしれない希望を、私たち木のんホームが叶えます。
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まとめ
南さつま市で安全な家を建てるには、災害の心配が少ない地域に土地を確保することが大切です。水害・土砂災害の危険区域に指定されているエリアではない場所で、家を建てる土地を探しましょう。
家そのものの強度を上げるためには、南さつま市で起きやすい災害を知り尽くした施工会社に依頼するのが近道です。「水害に強い家」「土砂災害に強い家」、また「地震に強い家」など、頑丈な家を建てられる施工会社を探しましょう。
強さと使いやすさ、さらにおしゃれさも兼ね備えた家を建てるなら、木のんホームにご相談ください。住宅建築のプロである建築家が設計を担当する、最高に暮らしやすい家をご提案します。