注文住宅のキッチンづくりの秘訣とは?後悔しない決め方のポイントも解説

注文住宅は、家のすみずみまで自由に設計できます。もちろん、キッチンもです。広さやレイアウト、勝手口・パントリーの有無、キッチンの素材やデザインなどまで、すべてが希望通りにつくれます。

カタログやInstagramなどで見た素敵なキッチンを思い浮かべながら、我が家だけの理想のキッチンを作り上げたいですね。いま住んでいる住宅のキッチンで不便な箇所があれば、それらもすべて解決しましょう。

この記事では、これから注文住宅を建てる人に向けて、キッチンの作り方や後悔しないキッチンづくりのポイントを解説します。

長く愛用できるキッチンを完成させるヒントにしてください。

作り方によるキッチンの違い

作り方によるキッチンの違い

実際にキッチンを検討する前に、キッチンの種類を押さえておきましょう。キッチンは、作り方によって次の3つに分けられます。

  • システムキッチン
  • オーダーキッチン
  • 造作キッチン

「システムキッチンは決められた形しかない」「オーダーキッチンは高そう」など、イメージはさまざまあるかもしれませんが、まずは違いを見てみましょう。

システムキッチン

システムキッチンとは、住宅設備メーカーが販売する既成キッチンです。形やサイズ、素材、色、オプションなどを選び、間取り・希望にあわせて組み合わせます。価格は組み合わせ方によって変わります。

システムキッチンは、機能的で使いやすく、お手入れがしやすいようにつくられているのが特徴です。工場生産品のため、オーダーキッチンより手頃な価格帯のものが多めです。

システムキッチンの例LIXIL リシェルSI

システムキッチンの例/LIXIL リシェルSI

オーダーキッチン

オーダーキッチンは、キッチンメーカーや家具メーカーがつくっているキッチンを指します。形やサイズ、色、素材、オプションなどのバリエーションがシステムキッチンより豊富で、自由設計に近い感覚でつくれます。

ただしラインナップの中からの組み合わせに限る点は、システムキッチンと同様です。

またシステムキッチンに比べて、価格帯も高くなります。

◎ オーダーキッチンの例CUCINA TRACCIA

オーダーキッチンの例/CUCINA TRACCIA

造作キッチン

造作キッチンとは、設計に合わせて完全オーダーメイドでつくるキッチンです。工務店や大工が設計に合わせて施工し、完成させます。

希望通りのキッチンが作れる点や、手作りならではのあたたかみあるキッチンになる点が魅力です。

ただしイチから設計するため、手間がかかります。またメーカー製品のような工場生産品の精度を求める方には向いていません。

◎ 造作キッチンの例

形状によるキッチンの違い

形状によるキッチンの違い

キッチンは形状によっても分類できます。注文住宅で採用されるキッチンの形状は、主に次の5つです。

  • L型
  • アイランド型
  • ペニンシュラ型
  • I型
  • II型

それぞれの特徴を解説します。

L型キッチン

L型キッチンとは、キャビネットを「L」の字に配置したキッチンです。

コンロとシンクが90度になる配置が多く、壁付けでも対面でも設置できます。広い作業スペースが取れる点がメリットですが、「コーナーがデッドスペースになりやすい」「広い面積が必要」などのデメリットもあります。

アイランドキッチン

アイランドキッチン

「アイランド」は島を意味します。アイランドキッチンは、コンロやシンクが独立しているタイプのキッチンです。

調理スペースに向かうと、リビングやダイニングと向き合う形になります。「空間が開放的に感じられる」「大勢での作業もしやすい」といった点がメリットで、ホームパーティーが多い住宅でよく採用されます。

デメリットは「広いスペースが必要」「においが広がりやすい」などです。調理スペースがリビングから丸見えのため、常に片付いていないと散らかった印象になりやすい点も要注意です。

ペニンシュラキッチン

ペニンシュラキッチン

「ペニンシュラ」は半島を意味します。左右のどちらかが壁に接した対面キッチンを、ペニンシュラキッチンと呼びます。アイランドキッチンの左右どちらかが、壁についた形と考えてください。

対面型キッチンですが、アイランド型ほどスペースが不要な点で人気があります。コンロの前に油跳ね防止の壁を設置することもでき、においや汚れが広がるのを防げます。

シンク上に収納棚をつくらなければ、キッチンに開放感を持たせられます。ただしその分収納が少なくなるため、背面に大きなカップボードを配置すると良いでしょう。

I型キッチン

I型キッチンは、コンロとシンク、調理台が一列に並べられたキッチンです。一般的に壁に向かって取り付けられます。

キッチンを壁に取り付けるため、スペースを有効活用できます。コンパクトなつくりのため、価格も比較的リーズナブルな商品が多く見られます。

ただしリビングダイニングの一角にI型キッチンを設置すると、キッチンの引出しや足元までリビングから丸見えになります。調理中にリビングの様子を見たい場合は、振り向かないといけない点もデメリットかもしれません。

II型キッチン

II型キッチン

引用:LIXIL Noct

II型キッチンとは、カウンターと壁側にシンクとコンロを分けたキッチンです。シンクとコンロが一直線に並ぶキッチンよりも作業動線が短くなり、家事効率がアップします。ペニンシュラやアイランドをII型の配置にするスタイルも人気があります。

一方で、シンクで洗った野菜を鍋に入れるなど、濡れたものを運ぶ際に水が垂れやすい点には注意が必要です。身体の向きを変える頻度も多くなるため、慣れるまでは面倒に感じるかもしれません。

家族全員が使いやすいキッチンをつくるコツ

家族全員が使いやすいキッチンをつくるコツ

注文住宅を設計する中でも、キッチンは意見が割れやすい場所です。家族全員が納得のキッチンにするコツを、4つの視点から解説します。

1. 家族の生活スタイルを考える

「家族が頻繁にキッチンへ出入りする」「複数人で調理する」などのご家庭には、両側から入れる回遊型レイアウトが向いています。モノが少なく、ミニマルな暮らしのご家庭なら、シンプルでコンパクトなレイアウトが良いかもしれません。

生活スタイルを振り返り、自分たちにもっとも合いそうなキッチンを選ぶようにしましょう。

2. 一番使う人にとっての使いやすさを優先する

毎日使うキッチンは、ちょっとした不便がQOL(Quality of life・クオリティ オブ ライフ。生活の質)を下げる要素になります。

高さや収納、シンク・作業台の大きさなどは、一番使う人にとって一番つかいやすくなるよう考えましょう。

3. お手入れがしやすい仕様を選ぶ

キッチンは、家の中でも汚れが溜まりやすい場所です。せっかくのお気に入りキッチンを美しく保つには、お手入れしやすい素材であることも大切です。

既製品のシステムキッチンがステンレスでつくられることが多いのは、やはりお手入れがしやすいから。人気が高まっている人造大理石やホーローもおすすめです。ただし人造大理石やホーローは、変色や色あせ、割れなどに注意しましょう。

4. 予算内におさまる設備を選ぶ

食洗器やタッチレス水栓、昇降式吊り戸棚、浄水器……、キッチンには魅力的なオプションが数多くあります。「あれもいいな、これもいいな」と最新式の設備をどんどん加えると、あっという間に予算オーバーになることも。

優先順位をつけ、予算内におさまるよう折り合いを付けて決めることも大切です。

使いやすいキッチンのポイント

使いやすいキッチンのポイント

キッチンの使いやすさは、次の5つのポイントで決まります。

  • 動線
  • 機能性
  • 高さ
  • 収納
  • コンセントの位置

それぞれ、どのような点に気をつけるべきか解説します。

動線

作業しやすい動線は、「シンク・コンロ・冷蔵庫」の位置関係で決まります。この3点が離れすぎると動きに無駄が多くなり、短すぎると作業スペースが足りなくなります。

それぞれを2~3歩(120~180cm)ほどで結べる位置関係を検討しましょう。

また通路の幅は、90~120cmほどが目安です。2人以上で調理する機会が多い場合は、すれ違いやすいよう最低でも100cm以上を確保しましょう。

機能性

インテリア性も気になるキッチンですが、使いやすい機能面を備えていることも大切です。どのような機能を使いやすいと感じるかは使う人によって異なるため、展示場で数多くのキッチンを見てみてください。

人気のキッチン機能を紹介します。

高さ

システムキッチンの高さは、80cm・85cm・90cm・95cmでつくるよう日本工業規格(JIS)によって定められています。

最適なキッチンの高さは、一般的に次の計算で算出できます。

身長(cm)÷2+5cm

身長160cmの人なら「160cm÷2+5cm」を計算し85cmのキッチンが合い、身長155cmの人なら「155cm÷2+5cm=82.5cm」なので82~85cmのキッチンを選べば良いのです。

低すぎるキッチンは前傾姿勢での作業が続き、疲れやすくなります。反対に高すぎても作業しにくいでしょう。施工会社と相談し、使いやすい高さのキッチンを選びましょう。

収納

キッチンの収納は、引出しタイプと開き戸タイプがあります。それぞれのメリット・デメリットを把握し、使いやすい収納スタイルにしましょう。

メリットデメリット
引出し
  • 全体を見渡しやすい
  • モノの出し入れがしやすい
  • 奥側がデッドスペースになりやすい
  • 引き出すときにモノが動く
開き戸
  • 可動式の棚で入れ方を調整できる
  • 高さのあるモノも入る
  • 奥・上のモノが出しにくい
  • 棚がないと散らかりやすい

コンセントの位置

見落としやすいのが、コンセントの位置です。キッチンには家電が多いため、コンセントが最適な位置に必要な個数がないと、家電の配置がしにくくなります。

炊飯器、オーブンレンジ、トースター、コーヒーメーカーなど、使う家電の個数と配置を想定し、使いやすい位置に配線してもらいましょう。

シンク周りやダイニングテーブルの近くも穴場です。スマートフォンの充電ケーブルやケトルをつなぎたい場合に役立ちます。

注文住宅のキッチン選びで失敗しやすいポイント

注文住宅のキッチン選びで失敗しやすいポイント

注文住宅のキッチン選びで失敗・後悔しやすいポイントを5つ、解説します。いずれもちょっとした注意や相談で防げるものばかりです。

記事を参考にしながら、パートナーや工務店、建築士に十分相談して決めていきましょう。

失敗1. 見た目やトレンドだけで選ぶ

キッチンのカタログやInstagramなどを見ると、最新型の素敵なキッチンにワクワクします。ワクワクする気持ちは大切ですが、見た目のおしゃれさや流行だけで選ぶのはやめましょう。

「広々した天板に憧れてアイランドキッチンにしたが、リビングに油がはねる」「トレンドカラーのキッチンにしたが、10年経つと流行遅れに見える」などは、よくある失敗例です。

10年、20年と使い続けること、またお子さんや家族も成長することを踏まえ、飽きのこない使いやすいキッチンを選ぶと失敗しません。

失敗2. 「使うかも」と、とりあえず設備を何でも入れる

食器洗い乾燥機や魚焼きグリルなど、「使うかもしれないから」と設備を入れるのも失敗のもとです。とりあえず入れたは良いものの、「結局使わなかった」「Aを入れずに、その分Bを大きくすればよかった」といった結果になりやすいからです。

とくにコンロ下の魚焼きグリルは、要注意です。「新築ににおいがつくのが嫌だから使わない」「掃除が大変だから使わなかった」という声も見られます。

設備は「本当に必要かどうか」をシミュレーションし、決定しましょう。

失敗3. 素材の特徴を踏まえずに決める

キッチンそのもの、また床の素材をよく考えずに決めたことを後悔する人もいます。

キッチンは油や水はねなど、落ちにくい汚れが付きやすい場所です。天然石のカウンターや無垢材の床は、見た目はとても素敵ですが、汚れを落としにくいのが難点。お手入れが大変で、「やっぱりステンレスで十分だった」という展開になりかねません。

「キッチンは汚れやすい」という前提に立ち、素材ごとの特徴をよく理解して決めましょう。

失敗4. 照明の色や位置をよく考えずに決める

リビングとひと続きのキッチンの照明は、リビングと同じ電球色を選ぶケースがよく見られます。しかし電球色は「手元の作業が見えにくい」「食材の色の変化がわかりにくい」というデメリットがあります。

失敗4. 照明の色や位置をよく考えずに決める

引用:「照明の種類が食物のおいしさに与える影響」|実践女子大学

また作業する人の背後に光源があると、手もとが暗くなり作業しにくくなります。

キッチンは、照明の位種類と位置にもこだわってみてください。ぐんと使いやすいキッチンになります。

失敗5. ゴミ箱の位置を決めずに選ぶ

キッチンを決める際は、ぜひ「ゴミ箱の位置」も十分検討しましょう。注文住宅はキッチンも自由に配置できる点が魅力です。ゴミ箱置き場をあらかじめつくっておくと、邪魔になったり見た目が気になったりということもなくなります。

注文住宅のキッチンを選ぶ手順

注文住宅のキッチンを選ぶ手順

注文住宅を建てる際、理想のキッチンに仕上げる手順は、以下の3つです。専門家のアドバイスも参考にしながら、希望を遠慮なく伝え、長く使えるキッチンを手に入れましょう。

  1. 工務店に相談する
  2. 希望に合うメーカーを選ぶ
  3. 価格帯で絞り込む

工務店に相談する

まず、設計を担当する工務店や住宅メーカーの担当者に、ざっくりとした希望を伝えましょう。キッチンの形状や種類、こだわりたいポイントなど、この時点では理想をどんどん伝えてOKです。

設計士が希望を踏まえて、およそのサイズやレイアウトを提案します。希望に近い形になるまで、じっくり相談してください。

希望に合うメーカーを選ぶ

造作キッチン以外のキッチンを使う場合は、メーカーを絞り込みます。システムキッチンかオーダーキッチンかを決め、希望に近いキッチンをつくっているメーカーを探しましょう。

工務店によって、取り扱いできるメーカーが限られる場合があります。希望のメーカーを2~3つ見つけ、設置できるか相談してみてください。

価格帯で絞り込む

キッチンメーカーが決まったら、商品を決めます。予算に合わせ、価格帯からキッチンを絞り込みましょう。

実際の価格はオプション品やサイズによって幅があります。譲れないこだわりに優先順位をつけ、こだわりの詰め込み具合を変えた数パターンの見積もりを出してもらいましょう。

料理が楽しくなるキッチンづくりは、木のんホームにお任せください

料理が楽しくなるキッチンづくりは、木のんホームにお任せください

キッチンは、家の中でももっとも機能性とデザイン性の両立が求められる場所です。家族コミュニケーションの中心的な役割も果たすため、こだわりたいポイントもつくる人によって異なります。

注文住宅のキッチンづくりも、木のんホームにおまかせください。木のんホームはご家族の理想をしっかりヒアリングし、「思いを形にした」キッチンをご提案します。

「そうそう、こんなキッチンが欲しいと思ってました!」、そんなお声をいただくこともしばしばです。

キッチンのご相談は、木のんホームが定期的に開催している「賢い家づくり勉強会」で解決します。参加は無料です。ぜひ一度、お気軽にお越しください。

「賢い家づくり勉強会」情報はこちらから

まとめ

 注文住宅を建てる際、キッチンづくりはとてもワクワクする工程です。色やデザイン、素材を見るだけでも楽しく、最新設備はどれも採用したくなるでしょう。

一方で、「おしゃれだから」「トレンドだから」と深く考えずに採用すると、後悔の種になりやすいことに注意してください。キッチンは1日の中でも過ごす時間が長い場所です。機能性や動線、そして家族にとっての使いやすさも考慮しましょう。

キッチンづくりに正解はありませんが、ライフスタイルに合った最適なキッチンプラン作成は可能です。鹿児島を中心に「住みやすくて、かっこいい家」を造り続けている木のんホームに、まずは一度ご相談ください。

世界にひとつだけの、快適なキッチンをご提案します。

この記事を書いた人

admin2021