平屋は生活動線がワンフロアで完結します。近年人気のシンプルでコンパクトな暮らしにも最適で、若い人を中心に「平屋を建てたい」という人が増えています。
一方で平屋は、住宅のすべての機能を1階に配置しなければなりません。希望する床面積と土地の関係や予算面で、課題に直面する可能性も押さえておきましょう。
今回は平屋で起こりやすい問題のうち「収納」に注目します。
なぜ平屋は収納が問題になりやすいのか、また平屋の収納問題を解決するアイデアもまとめました。
収納は暮らしやすさや生活の質を保つために、欠かせないテーマです。理想の平屋を実現するヒントとして、ご活用ください。
平屋は「収納」が問題になりやすい
平屋はワンフロアに、家のすべての機能を配置します。
リビングや家族の居室はもちろん、キッチンや浴室、洗面所、トイレ、玄関……、それぞれに十分なスペースを確保しようとすると、広い建築面積(家の基礎部分の面積)が必要になります。
当然、広い土地が必要になり、建築予算も上がります。
「それは困る」と間取りを工夫するわけですが、居住スペースの広さを優先した結果、収納スペースが削られた間取りが少なくありません。
2階建て住宅のように居室の一部を2階に配置し、空いた1階スペースに収納を作るという手法がとれないのも、平屋ならではの課題です。
平屋に十分な収納をつくる方法
収納が少なくなりやすい平屋だからこそ、アイデアを駆使して平屋の収納を確保しましょう。
平屋におすすめの収納場所アイデアを5つ、紹介します。
小屋裏収納
小屋裏収納は、天井と屋根のあいだを収納スペースとして活用する方法です。
角度がある屋根(片流れ屋根・寄棟屋根・切妻屋根など)の住宅は、屋根の下と天井との間に三角形の空間ができます。この空間を収納として活用します。
はしごではなく、しっかりした固定階段でアクセスできるようにするのがポイント。季節家電や来客用布団、ゴルフバッグなど大きな荷物も簡単に運び入れられます。
また本来なら階段がない平屋に階段をつくることで、空間に立体感が生まれる点もメリットです。2階建て気分を味わいながら、平屋ライフを満喫できます。
小屋裏収納をつくる場合、建築基準法の定義に収まるようにしましょう。
<建築基準法の「小屋裏」>
- 床から天井までの高さが1.4m未満
- 広さは下階の2分の1以下
またこの定義内の小屋裏は延べ床面積に算入されず、固定資産税の対象から外れます。
地下・半地下収納
居住スペースを減らさずに収納を増やすには、地下の活用もおすすめです。
地下、あるいは半地下に空間をつくり、そこを収納スペースとしてはいかがでしょうか。
地下は温度が安定しており、強固な空間をつくれます。収納のほか音楽やトレーニングを楽しむための部屋、ホームシアターとしても活用できます。
ただし、地下室は窓が作れません。そのため湿気がこもりやすくカビや結露の問題が発生します。換気機能をつけ、空調を管理できるよう工夫しましょう。
パントリー
パントリーは、キッチンの近くに設置した食品・日用品の保管庫です。
ストック機能だけでなく、冷蔵庫やキッチン家電を配置すれば、キッチンの生活感を隠すことにも役立ちます。
パントリーを広く作っておけば、お米やペットボトルなど、かさばるものの収納に困ることもなくなります。
またリビングからアクセスしやすい位置に配置し、リビング収納を兼ねる方法もあります。
玄関収納
玄関はこまごまとしたモノが増えやすい場所です。靴や上着のほか、お子さんの外遊び道具やアウトドアグッズ、ベビーカー、段ボールなど、できればどれも隠しておきたいものばかり。
そこで玄関にも大容量の収納を設けてみませんか。
従来型のシューズボックスに代えて、クロークタイプ(人が入れるタイプ)の収納を設置します。玄関の土間からも室内からもアクセスできるよう、出入口を2方向につくりましょう。
出入口にロールカーテンを付けておけば、目隠ししたいときにサッと隠せます。
洗面所収納
洗面所も収納を作っておきたい場所の一つ。洗剤のストックやタオル類、着替えを収納できるスペースを作りましょう。
可動式のオープンラックを造作し、収納するモノに合わせたボックスで整理すると空間を無駄なく使えます。
家族とはいえプライバシーに配慮したい下着や着替えは、中が見えないチェストに入れると良いでしょう。
チェストの上を作業スペースとして確保しておくと、洗濯物の仕分けや洗剤の詰め替えといった、ちょっとした作業に便利です。
番外編:屋外物置
ゆとりのある土地に家を建てる人は、屋外物置がおすすめです。
とくに玄関に収納したいモノは、かならずしも玄関でなくても良いケースが多いものです。アウトドアグッズや子どもの外遊び道具など、屋外の物置に収納したほうが使い勝手が良いかもしれません。
屋外に物置を置けば、玄関収納を最小限に抑えることも可能です。空いたスペースを居住空間として活用できるようになるでしょう。
おしゃれな外観の物置や、自転車置き場を併設できるタイプもあります。
大きめの物置を設置したい場合は、平屋の間取り設計時点で施工会社に相談しておくと良いでしょう。希望の場所に設置できるように、住宅の形状や配置、間取りを工夫してくれます。
最適な収納量とは
収納は多ければ良いと思われがちですが、収納が多すぎてもデメリットがあります。
<収納が多すぎるデメリット>
- せっかくつくった収納を使いきれない
- モノが際限なく増える
- 収納の管理が煩雑になる
- 収納の分だけ床面積が増える(予算がかさむ)
では、最適な収納量とはどの程度なのでしょうか。その一つのヒントになるのが「収納率」という考え方です。
収納率とは家の床面積に対する収納スペースの割合です。「収納面積/総床面積×100(%)」で算出します。
ちなみに最適な収納率は、家族構成やライフスタイルによって異なります。モノが少ない人で10%、一般的な最適解は12~13%、多くのモノを持つ人は15%が目安です。
家の延べ床面積とモノの量によって必要な収納スペースの面積目安を、下にまとめました。
延べ床面積 | モノが少ない人(10%) | 一般的な最適解(12%) | モノが多い人(15%) |
25坪 | 2.5坪(8.2m2) | 3坪(9.9m2) | 3.75坪(12.3m2) |
30坪 | 3坪(9.9m2) | 3.6坪(11.9m2) | 5坪(16.5m2) |
35坪 | 3.5坪(11.5m2) | 4.2坪(13.8m2) | 5.25坪(17.3m2) |
収納は「場所」も大切
現代のライフスタイルに適した収納を考える際に、欠かせない視点が「場所」です。
どんなに大容量の収納があっても、使い勝手が悪い場所にあっては活用しきれません。時短でタイムパフォーマンスの良い収納を叶えるために、設置する場所にも十分配慮しましょう。
収納を配置する場所は、収納したいモノを使う場所の近くが鉄則です。
- リビングで使うモノは、リビングに
- キッチンで使うモノは、キッチンに
- 洗面所で使うモノは、洗面所に
モノとしまい場所が隣接するように心掛けると、使いやすい収納が実現します。
また使いたい場所の近くにモノがあると、家族も探しやすく使いやすいというメリットが生まれます。
「ねえ、ハサミどこ?」と声を掛けられる頻度が減るかもしれませんね。
収納を増やすのではなく、モノを減らせないか考えてみる
「シンプリスト」「ミニマリスト」と呼ばれる生き方が注目を集めています。モノを過剰に持たず、必要最低限のモノを大切に使いながら生活するスタイルです。
彼・彼女らは、口をそろえてこう言います。
「収納を増やしても片付かない。まず、モノを減らすことが大切」と。
そうなのです。片付けようと思って収納を増やすと、かえってモノが増えるという不思議な現象に見舞われることがあるのです。
収納するスペースがあると無意識のうちに「何か入れないと」と考えてしまい、モノを溜めこむ思考になるのが原因だそうです。
本当に片付けたいなら、収納を闇雲に増やすのではなく「モノを減らす」「モノを持たない」ライフスタイルを目指してみてはいかがでしょうか。
収納スペースを減らせれば、その分延べ床面積を居住スペースに回せます。開放的で居心地の良いリビングや、親子で料理できる広いキッチンが実現するかもしれませんよ。
鹿児島での平屋作りなら木のんホームにご相談ください
平屋はつくりがシンプルな分、ともすると画一的な外観や間取りになりがちです。
しかしせっかくのマイホーム、自分らしさを存分に反映した、オシャレでカッコいい家を建てたいと思いませんか。
もし鹿児島で平屋のマイホームを検討中なら、木のんホームにご相談ください。アトリエ建築家が設計する、個性的なのに暮らしやすい、モダンでスタイリッシュな家をご提案します。
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まとめ
室内の段差が少ない平屋は、小さなお子さんからシニアまで安心して暮らせます。まさに一生モノにふさわしい家!
シンプルな生活動線や家族が近くに感じられる間取りもあいまって、近年人気を集めているのも頷けます。
ただ2階がないため、収納が悩みの種になるかもしれません。記事で紹介したアイデアを参考に、必要な収納を最適な場所に配置できる間取りを工夫してみてください。
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