初めての土地探しで失敗しないためのポイント5つを解説

土地探しは、家を建てたい人が最初に直面する課題です。一生に何度も経験することでもないため、「土地はどうやって探せばよいのか」「チェックすべきポイントは何か」などの不安が募る人も多いでしょう。

決して安くない買い物、そして「やっぱり違った」と思っても買い替えが難しい買い物だからこそ、失敗したくないと思うのも当然です。

この記事では、初めて土地を探す際に押さえておきたいポイントを5つの視点から解説します。「土地はどこで探せば良いか?」というスタート地点から、購入契約前のチェックポイントまで、分かりやすくまとめました。理想の家に最適な土地を見つけるヒントとして、ぜひ最後までご覧ください。

土地探しのポイント① 土地はどこで探せば良い?

土地探しのポイント① 土地はどこで探せば良い?

土地の探し方は、大きく4つあります。

  • 不動産情報のポータルサイト
  • 地域密着の不動産会社
  • 工務店・建築会社
  • 自分で探す

それぞれの特徴やメリットを解説します。

不動産情報のポータルサイト

不動産会社が取り扱う物件を数多く掲載するポータルサイトを利用するのは、土地探しのもっとも一般的な方法です。

代表的なポータルサイトは、次の4つです。

土地探しでポータルサイトを利用するメリットは、「複数の不動産会社が取り扱う物件を一覧で見られる」「多くの情報から希望に合う土地を比較しやすい」点です。地域の相場や人気のエリアなどを知るためにも便利です。建売住宅や中古住宅も掲載されているので、家探しも同時にできます。

ただし、ポータルサイトは次の点で注意が必要です。

  • 載っていない物件も多数ある
  • 価格が高い場合もある
  • サイトによって情報の鮮度が異なる場合がある

ポータルサイトへの掲載にも費用がかかるため、不動産会社は物件を選んで載せています。「suumoには載っているが、アットホームには載っていない」など、ポータルサイトによって掲載物件も異なるのは、そのためです。

またポータルサイトは成約時に手数料がかかる仕組みのため、不動産会社は手数料を上乗せした価格で載せている場合があります。情報の更新頻度もポータルサイトによって異なるため、最新情報を知りたければ取り扱う不動産会社に問い合わせた方が確実です。

地域密着の不動産会社

地域の不動産会社で土地を探す方法もあります。取り扱っている土地の中から探したり、希望に合う土地探しの相談に乗ってもらえたりします。

地域の不動産会社で土地を探すメリットは、「ポータルサイトに載っていない土地も見つかる」「価格交渉に応じてくれる可能性がある」点です。不動産会社に直接問い合わせると、取り扱う土地をすべて確認できるため、いわゆる“掘り出し物件”が見つかる可能性もあります。

一方、デメリットは次の2点です。

  • 複数の会社に出向く必要がある
  • 土地売買の仲介をやっていない不動産会社もある

不動産会社は、地域の売り土地をすべて取り扱っているわけではありません。そのため、希望に合う土地が見つからなければ、見つかるまで複数の不動産会社に出向く必要があります。
また、中には土地売買の仲介をしていない不動産会社もあるため、事前に確認しておきましょう。

工務店・建築会社

工務店や建築会社、ハウスメーカーなどでの土地探しも可能です。大手ハウスメーカーは建売住宅の分譲を行っているところが多いため、土地付きの新築物件を探す方におすすめです。
工務店や建築会社は地域の不動産会社や土地所有者とネットワークを持っており、土地探しの相談に乗ってくれます。

工務店や建築会社で土地探しをするメリットは、「土地に合った住宅の立て方も同時に相談できる」「仲介手数料がかからない場合がある」点です。土地探しから工事までの窓口を一本化できるため、狭小地や変形地でも理想の住宅を建てられる可能性があります。
また不動産会社を介さずに土地の売買が成立すれば、仲介手数料がかからない場合もあります。

ただし、工務店や建築会社は地域に密着しているケースが多いため、土地を探してくれる対象エリアが限定される場合があります。希望のエリアがある場合は、そのエリアに強い工務店・建築会社を見つけるのがコツです。

自分で探す

希望のエリアを歩き回り、土地を自分の力で探す方法もあります。時間と手間はかかりますが、売りに出されていない空き地などを見つけられる点がメリットです。

立地や広さの良さそうな空き地が見つかったら、最寄りの不動産会社に相談してみましょう。土地所有者を探し、売買を仲介してくれる可能性があります。

また「売り土地」の看板やチラシ、地元の人の口コミなどを頼りに探す方法もあります。

土地探しのポイント② 優先順位を決める

土地探しのポイント② 優先順位を決める

長く生活の拠点となる土地は、こだわって探したくなります。自分と家族の生活にとっても、どこに住むかは大きな問題です。ただ、理想を描きすぎた結果、土地探しが行き詰まっても困ります。土地がなければ、家も建てられません。

できる限り理想に近い土地を、効率よく見つけるコツを2つのポイントから解説します。

「譲れないこと」を決める

土地探しで重要なのは、理想ではなく優先順です。土地には大きく「立地・形状・面積・金額」という4つの条件がありますが、すべてが理想通り!という土地にはまず出会えないと考えましょう。

代わりに、条件に優先順位を決めます。これだけは譲れない、こだわりと言っても良いでしょう。優先度の高い条件を2つほど満たす土地が見つかったら、交渉を進めましょう。その他の条件は、設計の工夫などで解決できる可能性があります。

優先順位の考え方の一例を紹介します。

  • 子どもの学校から近い場所が良い
  • A小学校に通わせたい
  • 買い物に便利な場所が良い
⇒ 「立地」優先タイプ
  • 広々した平屋を建てたい
  • 庭で家庭菜園をしたい
  • 大型犬がゆったり暮らせる家が良い
⇒ 「面積」優先タイプ
頭金は〇〇円でローンを組みたい
ローンは繰り上げ返済したい
ローン総額は〇〇万円までに絶対抑えたい
⇒ 「金額」優先タイプ

土地は“生もの”です。とくに人気のエリアは、迷っている間に他の人に買われてしまうこともよくあります。100点の土地を探すのではなく、80点でも良いかと考える柔軟性が大切です。

予算は現実的に考える

建売住宅は土地と建物をセットで購入しますが、注文住宅では土地と建物を別々に購入します。そこで大切になるのが「予算」です。土地と建物、それぞれの予算を厳密に考えましょう。

予算は「総予算」を土地・建物それぞれにどれくらいの割合で分けるかのバランスが大切です。総予算3,000万円として、2,000万の土地を買えば、建物にかけられる金額は1,000万円です。反対に1,000万円の土地を買えば、建物に2,000万円かけられます。

建物にかける予算が増えれば、高い省エネ基準をクリアした高断熱住宅建築も可能です。高断熱住宅は税金面やローン面で優遇される上、光熱費などのランニングコストも抑えられます。理想の家を建てるには、「建物にいくらかけたいか」を土地探しの段階から考えることが大切です。

また将来を楽観し、高額なローンを組む前提で考えるのはやめましょう。先行き不透明な時代です。何が起きても確実に支払える、家族の生活を守れる堅実な額に抑えるのが失敗しないコツです。

土地探しのポイント③ エリア・地域の選び方

土地探しのポイント③ エリア・地域の選び方

土地探しで最初に絞り込むのがエリア、つまり「どこに住むか?」です。「今住んでいる場所の近くで見つけたい」「実家の近くに家を建てたい」、あるいは「同じ市内でならどこでも構わない」など、エリアに対する希望は人によってさまざまです。

希望のエリアが絞り込めている人は良いのですが、これから考える場合は、あまりエリアを広げすぎないのがポイント。選択肢が増えすぎると、かえって決め手が見つかりづらくなります。

土地探しにおける「エリアの絞り込み方」を解説します。

ライフスタイルと周辺環境を比較する

自分と家族のライフスタイルや理想の暮らし方から、エリアを絞り込むのが王道のやり方です。エリアに関して、大切にしたいポイントを洗い出してみましょう。たとえば次の例が考えられます。

  • 仕事関係
    • 通勤時間を短縮したいなら、会社の近くが候補地
    • 転職予定なら、転職先の近くが候補地 など
  • 学校の学区
    • 通わせたい学校があるなら、その学区内が候補地
    • 転校させたくないなら、今の学区内が候補地 など
  • 友人関係
    • 現在の友人関係を続けたいなら、居住地の近くが候補地 など
  • 実家関係
    • 将来の介護に備えるなら、実家の近くが候補地 など
  • 生活関係
    • 買い物の利便性を重視するなら、繁華街の近く など

将来も見越して検討する

現在だけでなく将来を見越して土地を探すのも、大切なポイントです。子どもたちの成長や大学進学、両親の介護、自分たちの将来など、20〜30年先でも住みやすい場所を選びましょう。

また将来的に家を売却する可能性がある場合も、立地が重要です。駅やショッピングモールが近い、繁華街に近いなど、「売れやすい」立地を検討してみてください。

土地探しのポイント④ 土地の安全性

土地探しのポイント④ 土地の安全性

土地探しでは「安全性」が何より重要です。少しでも安全な土地を探すために、必ずチェックしておきたい3つのポイントを解説します。

災害リスク・ハザードマップ

はじめに、ハザードマップを確認しましょう。ハザードマップとは災害ごとの影響区域や避難場所・避難経路などを示した、防災のための地図です。自然災害による被害の軽減や防災対策を目的として、各自治体が作成しています。
国土交通省 ハザードマップポータルサイト」では、次の4つの災害について、地域ごとのリスクを調べられます。

  • 洪水
  • 土砂災害
  • 高潮
  • 津波

また冠水など道路の防災情報や、地形分類もわかります。

ハザードマップを利用すると、災害に遭いにくい土地を見つけられます。地域をピンポイントで選び、想定されるリスクもチェックできます。

【ハザードマップの使い方】
1. 調べたいエリアを表示し、調べたい災害(画像の赤枠)をクリックする。

ハザードマップの使い方

引用:「ハザードマップポータルサイト」|国土交通省

2. 災害の危険度が色分けで表示される。
※ 画像は「洪水」「土砂災害」を表示させた状態

 災害の危険度が色分けで表示される

引用:「ハザードマップポータルサイト」|国土交通省

また各自治体のホームページでも、地域のハザードマップが公開されています。
土砂災害警戒区域等マップ|鹿児島県)

地盤の強さ

土地の地盤の強さも調べておきましょう。地盤の強さは、地震に対する強さに直結する大切な指標です。

一般的に山地や丘陵地、台地は地盤が強く、土砂が積み重なってできた土地は、地盤が軟弱だと言われています。地盤は強いほど揺れを伝えにくく、耐震性が高まります。

地盤の強さは「地盤サポートマップ」で調べましょう。「地盤サポートマップ」では、次の情報が確認できます。

  • 地耐力(※)
  • 古地図
  • 過去の航空写真
  • 地震時の揺れやすさ
  • 地震発生確率
  • 液状化の可能性
  • 浸水想定区域
  • 避難所 など

※ 「地耐力」地盤が耐えられる建物の荷重や、地盤沈下に対する抵抗力など、土地の頑丈さを示す指標

土地の過去

余裕があれば、土地の過去を調べるのもおすすめです。不動産会社で教えてもらえるほか、「国土交通省 ハザードマップポータルサイト」「地盤サポートマップ」で現在の地図と古地図を重ね、土地の成り立ちを調べる方法もあります。

注意したいのは、その昔「田、池沼、ため池、水面埋め立て地」などだった土地です。水をたっぷり含んだ土地を埋め立てて宅地にしているため、地盤が比較的弱い可能性があります。

宅地になってから相応の年数が経っていれば、あまり心配する必要はありませんが、大地震による液状化の懸念もあるため、建築時に基礎工事を入念にしておいた方が安心です。

土地探しのポイント⑤ 土地の条件

土地探しのポイント⑤ 土地の条件

良さそうな土地が具体的に絞り込めてきたら、「土地の条件」を詳しく確認します。土地ならどこにでも、好きなように家を建てられるわけではありません。土地によって建築にはさまざまな条件が課されます。

理想の家を建てるために、土地契約前にチェックすべき5項目を解説します。

用途地域

土地には「用途地域」という規則があります。「用途地域」とは、都市計画のために地域を用途ごとに13(うち住宅を建てられるのは12)のルールで分けた規則のことです。用途地域ごとに建築可能な建物の種類や大きさなどが制限されるため、住み心地が異なります。

用途地域は大きく、「住居系・商業系・工業系」の3つに分けられます。もっとも数が多いのは住居系で、13の用途地域のうち8つを占めます。住居系地域には基本的に大きな工場や商業施設は建てられず、住環境が優先されています。

用途地域について詳しくはこちらの記事もご覧ください。居住におすすめの7地域も紹介しています。

【注文住宅】土地探しは住環境と安全性をチェック!

建ぺい率・容積率

続いて「建ぺい率・容積率」をチェックしましょう。

  • 建ぺい率:敷地面積に対する建物面積の割合。建物を真上から見た時の面積が敷地全体のどれくらいを占めるかをあらわす。
  • 容積率:敷地面積に対する延べ床面積の割合。建物のすべての階の床面積を合計した面積が敷地全体のどれくらいを占めるかをあらわす。

建ぺい率と容積率によって、その土地に建てられる住宅の大きさ上限が決まります。土地100坪の建ぺい率が50%なら、建てられる建物面積は50坪が上限です。建ぺい率80%なら、80坪の建物が建てられます。

「土地の建ぺい率が小さく、希望の部屋数が確保できない……、だったら上に大きくすれば良いじゃないか!」と考えるかもしれません。しかし、そんな人が増えると、あたりは高い建物だらけになり、都市計画が成立しなくなってしまいます。そこで定められているのが容積率です。延べ床面積の最大を決めることで、高すぎる建物が建つのを防ぐ役割を果たしています。

建ぺい率と容積率は、自治体のホームページから「都市計画」を調べるとわかります。希望の大きさ・間取りの家を建てるためにも、事前にチェックしておきましょう。

かごしま!マップ

引用:「かごしまiマップ」|鹿児島市

土地の形・向き・高低差

土地の形は、家の設計にかかわる重要ポイントです。土地の形は大きく「整形地」と「不整形地(変形地)」に分けられます。整形地とは正方形や長方形など四角形の土地を指し、不整形地とは三角地や台形地、傾斜地、旗竿地などを指します。

一般的には整形地のほうが土地を無駄なく設計でき、効率の良い家づくりができると言われます。しかし不整形地も日当たりが良い土地が多かったり、価格が安かったりなどのメリットがあるため見逃せません。土地の一角を花壇や家庭菜園にする、傾斜を生かして眺望の良い家を建てるといった工夫で、暮らしやすくなることもあります。

不整形地も候補に入れると土地の選択肢が増える点は押さえておきましょう。

防火地域、木密地域

土地によっては、「防火地域」「木密地域」などの基準が設けられている場合もあります。

防火地域とは、大規模な火災・延焼を防ぐため建物の耐火性能に基準があるエリアをいいます。耐火性能を高めると建築費用にも影響するので、事前に確認しておきましょう。

木密地域とは、木造住宅が密集した地域をいいます。東京都を中心に設定されており、JR山手線外周部に帯状に広がっています。木密地域内での住宅新築・建て替えは、耐火性能などの規制が強化されている場合があります。

防火地域や木密地域も、自治体のホームページで調べられます。

ライフライン

土地探しでは、ライフラインの敷設状況もチェックしましょう。

新しく造成された宅地(大規模分譲地や建売住宅)は、ほとんど問題ないでしょう。宅地を開発する際に、水道・ガス・下水が引き込んでいる場合が多いため、ライフライン敷設のために追加費用が掛かるケースはほとんどありません。都市ガスが敷設されているエリアもあります。

ただし、昔ながらの住宅地で土地を買う場合や、空き地を購入した場合は注意が必要です。水道管があっても老朽化のため新しくしなければならなかったり、そもそもライフラインが引かれていなかったりする場所もあるからです。ライフラインの工事は道路を掘り起こす必要があるケースも多く、数十万円〜百万円単位の工事費がかかることも珍しくありません。

土地探しでは、土地のライフライン敷設状況も忘れずにチェックしましょう。不動産会社に問い合わせると、教えてくれます。

土地探しの相談なら木のんホームへ

土地探しの相談なら木のんホームへ

初めての土地選びは、迷いや悩みも多いものです。専門用語や調べるポイントも多く、一方で「絶対失敗したくない」気持ちもあり、いったいどのように決めれば良いのか、わからなくなることもあるでしょう。

成功する土地探しのコツは、建てる家を具体的に想像しながら探すことです。変形地た傾斜地でも、設計を工夫すれば快適な住まいを実現できます。一人で悩まず、専門家に積極的に相談しましょう。

木のんホームでも、土地探しのお手伝いをしています。創意工夫にあふれた家づくりが得意な建築家と一緒に家を作る木のんホームにご相談いただければ、土地を探しながら、土地に合う設計を同時にご提案します。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。

まとめ

土地探しのポイントは、土地の安全性や条件を確認しながら、「譲れない条件」を最低限満たす土地を見つけることです。どれだけ時間をかけて探しても、100点満点の土地は見つかりません。土地探しに時間をかけるほど、マイホームで過ごせる時間は少なくなります。80点の土地を見つけるつもりで、効率よく探しましょう。

土地はポータルサイトのほか、地元の不動産会社や工務店でも探せます。住みたいエリアを決め、候補を絞り込む作業から始めましょう。

この記事を書いた人

admin2021