【注文住宅】契約の流れからトラブルを回避するポイントまで徹底解説

注文住宅の契約は、費用や工期、仕様、建材・設備など、家のすべてに影響を与える非常に重要な段階です。

膨大な確認事項に辟易することもあるかもしれませんが、一生を左右する大きな買い物ですから、一つひとつ丁寧に見ていきましょう。チェックを怠ったばかりに、トラブルに繋がるのは避けたいですよね。

今回は注文住宅の着工前に締結する「契約」について、内容や書類の種類、支払い計画などについて解説します。

注文住宅には必ず必要になる「土地の売買契約」についても触れました。あわせてご覧ください。

注文住宅施工時の「契約」とは?

契約とは、注文住宅を建てる際、間取りや工程などの詳細プラン、金額などを詰め、建築会社と「建築請負契約」を結ぶことを指します。「本契約」ということもあります。

注文住宅を建てる場合は、およそ次の流れで契約・着工・引き渡しになると押さえておきましょう。

STEP1.理想の住まいを描き、希望をまとめる。STEP2.住宅会社や建築会社に希望を伝え、見積もりをとる。STEP3.プランや予算の合意が取れたら、「仮契約」を締結。STEP4.間取りや建材、設備などを詳細に打ち合わせ、決定。STEP5.「本契約」を締結。STEP6.着工、上棟、引き渡しへ。

この記事で解説するのは、STEP5の部分です。

建築業者別!契約の流れ

本契約までの手順は、ハウスメーカーと工務店・設計事務所によって、少し異なります。それぞれの流れと、支払いが必要なタイミング、おおよその費用を見ておきましょう。

★ 支払い開始のタイミングが違うことに注目! ★
ハウスメーカーで注文住宅を建てる場合は、本契約時の契約時金(約10%)から支払いが始まります。一方、工務店や設計事務所の場合は、設計を依頼する段階で「設計依頼金(約100万円)」が必要になります。

ハウスメーカーの場合

ハウスメーカーで注文住宅契約を結ぶ場合の流れは、次の通りです。

契約段階支払いが必要な費用支払う額
相談・見積もり
本契約契約時金約10%
詳細設計
追加変更契約
着工着工時金約30%
上棟中間時金約30%
完成引き渡し最終金約30%

工務店、設計事務所の場合

工務店や設計事務所で注文住宅契約を結ぶ場合の流れは、次の通りです。

契約段階支払いが必要な費用支払う額
相談・見積もり
設計契約設計申込金約100万円
詳細設計
本契約
着工着工時金約30%
上棟中間時金約40%
完成引き渡し最終金約30%

契約時の重要項目

「契約」と聞くと、細かい字で書かれた大量の書類がイメージされ、苦手意識を持ってしまう方も多いかもしれませんね。

でも家の購入は、一生に関わる一大事です。必要事項を確実にチェックしていくことで、後々のトラブルを防げます。不明な点や希望と異なる点は、本契約までに必ず解決しておくことも大切。

契約時のチェックポイントを解説していきます。

書類は6種類

契約でチェックすべき書類は、6種類あります。それぞれの役目を押さえましょう。

工事請負契約書 工事請負契約に関する、具体的な決定事項をまとめた書類。以下の5点が間違いなく記載されているか確認を!
・工事費用
・設備等の仕様
・工事完了日
・引き渡し日
・支払い予定日
工事請負契約書約款 工事請負契約の解除や違約金、引き渡し後の補償などをまとめた書類。特に以下の点を確認しておくと安心。
・工事遅延の場合の違約金、損害金
・工事中に天災や台風被害があった場合の責任の所在
・アフターサービスの保証内容、期間
工事見積書 見積りを記載した書類。追加工事が発生し、見積りより高額な費用を請求されることもあるため、基本の見積りは必ず確認しておく。
工事の内容、資材の品名や型番も記録する。
建物図面・設計図 設計図には、打ち合わせ段階で提示される「基本設計図」と、契約時に提示される「実施設計図」がある。
希望や変更点が反映されているか、柱の太さ、間取りなど、詳細に記載されているかチェック!
重要事項説明書 建築物の概要や設計図の種類、報酬などを説明する書類。本契約締結前に説明がある。
建築工事工程表 工事のスケジュールを記載した書類。無理のない工期か、施主も要チェック!

間取りや設備・仕様は「本契約」までに確定させる

間取りや設備、仕様は本契約までに確定させましょう。

本契約を結んだあとは、契約書に書かれた内容以外の追加や変更は費用が請求されます。

また資材や設備を「細かい話だから」と建築会社任せにするのもNG。知らぬ間に予定以外の資材・設備に替えられていても気づけません。

トラブルを防ぐためにも、資材の種類・設備の型番など、細かなところまで「施主自身で」チェックすることが肝心です。不安や質問は、解決するまで徹底的に話し合いましょう。

ここも要チェック!本契約時の確認ポイント

本契約には、さらに確認しておいた方が良いポイントがあります。見落としやすい項目も含めて、詳しく見ていきましょう。

支払いのタイミングと金額を押さえておく

必要な費用はローンで、と考えている方は要注意!

★ 住宅ローンは、建物の表示登記前には利用できません!★

「建物の表示登記」とは、その建物の所有者情報などを公の帳簿に記載する手続きのこと。新築物件の表示登記は、建物の完成〜1か月以内にすることと定められています。

つまり建物が完成するまでは、住宅ローンが使えないということです。

しかしどの建築会社と契約しても、工事を始める際に20〜30%の着手金を支払わないといけません。ここは自己資金でまかなうか、「つなぎ融資」を利用することになります。

契約の際はローン融資開始が建物完成後になることも踏まえ、「いつまでに、いくらを支払う必要があるのか」を確認しておきましょう。

>>住宅ローンについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

契約書の「ローン特約」も確認を

「ローン特約」とは「解除条件付き契約」ともいい、施主が一定期間内にローンの借り入れができなかった場合に、契約を白紙に戻すことができる特約のことです。

万一のために、利用を検討しておくのがおすすめです。

ローン特約を利用する場合は、あらかじめ契約書に「利用する予定だったローンの種別」「金利」「手続きの期限」などを記載しておく必要があります。

建築会社提携金融機関でローンを借り入れる場合は、ローン特約が盛り込まれていることが多いのですが、別の金融機関で借り入れる場合は別途申込をしないといけません。

借り入れできなかったローンは、全額でも一部でも適用可能。契約を解除した場合は、着手金から既に発生している費用を除いた額が、施主に返されます。

リスク回避に「住宅完成保証制度」も確認を

安心して工事を進めるには、「住宅完成保証制度」を利用するのもおすすめ!

「住宅完成保証制度」とは、注文住宅を建てている最中に建築会社が倒産してしまった、という万一にそなえる保証です。この制度を利用すれば、別の工務店が工事を引き継いで家を完成させてくれます。

また既に支払った工事費に加え、引き継いだ工務店に支払う追加工事費も保証対象に。保証料は5〜10万円が相場です。

ただし建築会社が保証機関に登録している必要があるため、事前に確認しておきましょう。

「捨印」NG、面倒でも訂正は書類のやりとりを!

「捨印」とは、契約書などの誤字・脱字といった軽微な訂正を簡易的に行うために押印するものです。

書類に訂正が必要になったときに、契約相手に断らずに訂正して良いと承認する意味を持つため、相手に一方的な訂正権を与えることになります。

契約書に捨印を押しておくと、知らないうちに契約内容を変えられてしまっても分かりません。捨印は押さず、面倒でも毎回書類のやりとりで訂正・変更していくようにしましょう。

土地の契約はここを確認!

注文住宅の契約は、建物だけではなく「土地」に対しても必要となります。土地契約の流れや重要ポイントも把握しておきましょう。

土地売買契約は2段階

土地の売買契約は、2段階に分けて行われます。

① 重要事項の説明

重要事項説明書は、土地の面積や権利、都市計画法・建築基準法など法令に基づく制限、災害警戒区域かどうか、また取引条件などが記載された書面のこと。

A4で10ページ以上に渡ることもある書類ですが、いずれも大切な内容なので説明を聞きながら、内容を把握してください。

説明は宅地建物取引士が行います。不明な点は、遠慮なく質問しましょう。

② 売買契約&手付金支払い

重要事項説明に納得し、買主が重要事項に署名・捺印すると売買契約を締結します。

契約が成立すると、手付金の支払いとなります。

手付金は現金か小切手で払うのが一般的。預金小切手の場合は、万一に備えてコピーを取っておきましょう。

土地契約時の注意点

売買契約をした土地が「建築条件付き」だった場合、契約後一定期間以内に、指定の建築業者と「本契約」を締結する必要があります。

一般的には3か月以内としていることが多いので、契約時によく確認してください。

もし建築業者と本契約が成立しない場合は、土地の売買契約が白紙になってしまいます。

まとめ

注文住宅を建てる際、最も重要とも言える「契約」についてまとめてきました。

契約は「疑問や不安を残さないこと」「理解できるまで十分に話し合うこと」を押さえれば大丈夫!時間がかかっても、丁寧に進めていきましょう。

間取りや設備だけではなく、建材や設備の型番、工期などもしっかりチェック!支払いのタイミングや回数、費用も押さえます。

はじめに細かく確認しておくことが、後々のトラブルを回避するコツです。希望や不安は遠慮なく伝え、納得の注文住宅を完成させましょう!

この記事を書いた人

admin2021